ハム西村、緊張のあまり契約更改で印鑑ポトリ…球団からは「新人王獲得指令」

契約更改に臨んだ日本ハム・西村天裕【写真:石川加奈子】
契約更改に臨んだ日本ハム・西村天裕【写真:石川加奈子】

300万円増でサイン、新人王は「自分の投球をして優勝すればついてくる」

 日本ハムの西村天裕投手が29日、札幌の球団事務所で契約更改交渉を行い、300万円増の1500万円でサインした(金額は推定)。

 ルーキーイヤーの今季は開幕1軍入りを果たし、4月7日ロッテ戦でプロ初勝利、翌8日ロッテ戦でプロ初ホールドをマーク。シーズン序盤はリリーフとしてフル回転したが、6月13日に2軍降格すると、後半戦は2試合の登板にとどまり、26試合2勝2敗8ホールド1セーブ、防御率3.52の成績だった。

「最初は勝負できると思いましたが、悔しい思いが強いです。交流戦が始まるくらいからボールが行かなくなりました。1年間投げ抜く体力、強いボールを投げ続けることが課題です」と25歳右腕はプロ1年目を振り返った。

 今後は課題克服のために「苦手」という長距離走を増やし、ウエートで瞬発力を鍛える計画。「力んでしまって上半身だけで投げることが多かった。しっかりマウンドで体の割りをつくれるように重点的にやりたいです」とフォームにも手を入れる。

 試合では堂々とした投げっぷりを見せてきたが、この日の契約更改交渉では緊張のあまり、押印しようとした際に取り出した印鑑を床に落としてしまったという。そんな緊張感あふれる場で球団側からもらったのは新人王獲得指令だった。

「『来年の新人王(資格)がまだ残っているので、しっかり狙っていけるように』と言っていただきました。狙える人は少ないですし、自分のピッチングをしてチームが優勝すれば、ついてくるかなと思います」と期待をしっかり受け止めた。

 先発と中継ぎ両方できるよう準備を進めている。今秋のフェニックス・リーグで先発に挑戦したことで視野が広がった。「自分が思っていた以上に長いイニングを投げられましたし、それをすることによって、体のバランスと投球の真っ直ぐと変化球のバランスというのが良かった」と語る。

 この日球団から起用法について希望を聞かれたというが「正直僕の中でも悩んでいます」とどちらかに絞ることはせずにチーム事情に合わせ対応していく。目指しているのはあくまでチームの優勝。「その試合で投げていることをイメージしています」と力強く言い切った。

(石川加奈子 / Kanako Ishikawa)

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