どうしても譲れず―現状維持1000万円を保留した西武熊代が訴えたかったこと

契約更改に臨んだ西武・熊代聖人【写真:上岡真里江】
契約更改に臨んだ西武・熊代聖人【写真:上岡真里江】

5日の契約更改交渉で西武では今季初の保留「去年と同じということなので…」

 5日に契約更改交渉に臨み、提示された現状維持の年俸1000万円を保留した熊代聖人外野手。西武では今季初の保留となった。

 どうしても譲れなかった。昨季は、1軍に1度も上がれなかった。その悔しさを糧に、今季は開幕1軍を勝ち取り、勝負どころの8月後半から再び1軍に帯同し、優勝メンバーに加わった。25試合出場、10打席無安打に終わっただけに、「もちろん数字がすべての世界で我々は生きているので」と十分理解はしているが、それでも「(1軍昇格が1度もなかった)去年と同じということなので、少し寂しいというか。優勝できたという中で、気持ちでも評価していただきたかった」。

 守備のユーティリティーさが1つの武器。試合前の練習でも、機敏に移動し、内外野どちらの守備練習もまんべんなくこなした。CS出場が視野に入ってきた9月からは、不測の事態に備え、捕手練習にも参加。「必要とされるなら、どこでもやります」と、精力的に取り組んだ。

 野球外の部分でも、ゲーム前の声出しなどムードメーカーとしてチームに勢いをもたらしたが、「正直、声出しに関しては、評価してくれと言うつもりもないですし、すでに球団の方からも十分評価していただいています。そこではなくて、例えば内・外野守れるユーティリティー性、便利屋という部分で、もう少し目に見えるような形で評価をしていただきたいかな、というのが正直な所です。レギュラー陣が数字で評価されるのは当然だと思うのですが、控えの選手も、それぞれどういう形であれ、数字には出ない部分でも少なからず貢献してる部分はある」と苦渋の保留決断の理由を語った。

 とはいえ、約1時間弱の交渉で「球団さんの思いを聞き、十分評価していただいていることは本当に伝わりました。ありがたい」とも。一度、持ち帰り、再考した上で、改めて交渉の場につく。

(上岡真里江 / Marie Kamioka)

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