「武者修行」の場、ウインターリーグ 台湾、豪州、北中米の違いとは?

今年台湾のAWBLに参加したロッテ・安田尚憲(左)とヤクルト・村上宗隆【写真:荒川祐史】
今年台湾のAWBLに参加したロッテ・安田尚憲(左)とヤクルト・村上宗隆【写真:荒川祐史】

温暖な地域で行われる野球リーグには、それぞれの特徴が

 ウインターリーグとは、野球のオフシーズンに温暖な地域で行われる野球リーグのことだ。通常は、チーム単位ではなく所属しているチームの了承を得て、選手が個人単位で参加する。ウインターリーグは、レギュラーシーズンと異なり、勝利ではなく、育成が目的とされている。主として若手選手が実戦経験を積むことで、成長するのが目的だ。

 現在、台湾、オーストラリアと北中米で行われている。ただし、地域によってウインターリーグの性格は微妙に異なっている。

 台湾のアジアウインターベースボールリーグ(AWBL)は、CPBL(台湾プロ野球)が主催している。2012年から始まり、今年で6回目(2014年は開催されず)。今年はCPBL、NPBのウエスタン、イースタン、JABA(日本の社会人野球)、KBO(韓国プロ野球)が参加したが、いずれも若手選手が中心。勝敗よりも選手の育成が優先されている。AWBLは、球団が選抜した選手を派遣する。NPB、JABAの選手はぞれぞれのチームのユニフォームを着てプレーしている。

 南半球のオーストラリアではこのシーズンにオーストラリアン・ベースボールリーグ(ABL)が行われる。MLBの後援で南北2地区に分かれた8チームでペナントレースが行われている。今季からは南地区にニュージーランドのチームも参戦。NPBからも2017年は西武の森友哉が参加、今年はDeNAの今永昇太ら4選手が参加している。NPBの選手にとっては経験値を積む「育成」目的のウインターリーグだが、ABLそのものはオーストラリアのトップリーグだ。

 キューバ、ドミニカ共和国、メキシコ、プエルトリコ、ベネズエラのラテンアメリカ諸国でもウインターリーグが行われている。これらの国のウインターリーグは連携しており、上位チームは2月にカリビアンシリーズという決勝ラウンドへと進む。1949年以来70年近い歴史を有している。

 NPBからもDeNAの筒香嘉智、乙坂智、ソフトバンク(当時)の松坂大輔などが挑戦した。こちらもMLBなどの球団に在籍しながら参加する選手が中心だが、開催各国にとっては1年で最大の野球興行であり、多くの観客を集めている。教育目的という部分はもちろんあるが、真剣勝負のペナントレースであり、チームが不振に陥ると監督が解任されたり、選手が解雇されることもある。

ラテンアメリカ諸国ではスカウトも活発

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