西武初のGMに就任する渡辺SD フロント入り後から意識し続ける人物とは…
入団4年目、チームの主力となった渡辺SDがとった行動とは…
まだ寮生活だった入団4年目。すでに最多勝を獲得するなどチームの主力投手となっていた渡辺SDは、寮を出ようと根本氏の自宅へ直談判に向かったという。「高卒入団は5年間は寮で」という球団の決まりもあって、約2時間掛け合ったものの色よい返事をもらえず。1週間いろいろ策を練った挙げ句、マンション購入を決断。「契約上自分が住まないとダメなんです」と再交渉に向かうと、根本氏は「お前、考えやがったな!」と白旗を上げたという。
この秘話を単なる笑い話に終わらせないところが渡辺SDだ。「頭を使わないとダメだってこと。その人にはどういう攻め方でいったら攻略できるかっていうのを考える。いろんな物の見方をした方がいいなと、今はこの経験からも思いますね」。懐かしそうに振り返る根本氏とのやりとりから「何事にも工夫が必要」ということを肌で感じ取っていた。
チーム編成の辣腕ぶりから「球界の寝業師」の異名を執った根本氏を目標とするが、そこには時代に即した渡辺流の解釈も加えていくつもりだ。
かつては渡辺SDも住んでいた選手寮は、来年6月には新たに生まれ変わる。室内練習場も建設中で、メットライフドームでは着々と工事が進んでいる。組織改正が行われ、「新たなライオンズ」のチーム作りを任されることとなる新GM・渡辺久信。根本氏の流れを汲む男は、「1つ1つ勉強していきます」と、成長しながらチームを作り上げることを誓った。
(岩国誠 / Makoto Iwakuni)