最速123キロ女子中学生・島野愛友利 夢は「もう1度、男子と戦いたい」
小林将起監督は島野の野球への思いに目を細める「実力で背番号1を奪った」
ランニングメニューでは一切弱音を吐くことなく、黙々と厳しい練習についっていた。指導する小林将起監督も「男子はすぐに嫌な顔するが、愛友利は一切なかった。ウチは相当厳しい練習をしてるが全てついていきましたから。実力で背番号1を奪った」と目を細める。進学先は昨年、日本一に輝いた神戸弘陵高女子硬式野球部が決まっている。
「女子の世界では普通の成績を残しても取り上げてもらえない。勝つことは勿論ですがノーヒットノーラン、完全試合……。スピードだけにはこだわるつもりはないですが130キロは超えないといけない。最年少で日本代表のフルメンバーに選ばれることとか。あとは負けることが好きじゃないので負けないことですね」
自らの成長、そして女子野球界の未来を考え1日、1日を無駄にすることはない。島野のスケジュールは今もびっしりと埋め尽くされている。土、日はチーム練習、平日は「痛い箇所によっていく病院、整骨院を決めている」と、その日の体の状態を見極め患部のケアに努める。友達と遊ぶ時間は平日の数日だけ、それでも今の生活には満足しているという。そして最大の目標は再び男子と勝負することだ。
「高校が終わった先のことを色々と考えます。大学、女子プロ野球など高校で結果を残せば選択肢は増えると思いますが……。もう一度、男子の中で戦ってみたい気持ちもあります。神宮のマウンドにも立ってみたい」
過去には明大のジョディ・ハーラー投手が史上初めて女子投手と六大学野球の公式戦マウンドに上がり、2001年には明大・小林千紘投手と、東大・竹本恵投手が投げ合いを見せ話題を集めた。ドラフト候補が揃う大学野球の聖地で真っ向勝負を夢見る。
女子プロ野球も視野に入れる島野の思いは一つだけ。「女子野球を広めたい。もっと競技人口が増えてほしいし、女子野球を始める選手たちに目指してもらえるような選手、成績を残したい」。無限の可能性を秘めた女子右腕の今後に大注目だ。