「今年結果を出さないと厳しい」鷹16年ドラ1田中正義の現在地と3年目の覚悟

ソフトバンク・田中正義【写真:福谷佑介】
ソフトバンク・田中正義【写真:福谷佑介】

1年目は1軍登板なし、2年目の昨季も10試合で0勝1敗、防御率8.56

 今年こそは――。その一心で、虎視眈眈とアピールを狙っている男がいる。ソフトバンクの田中正義投手。多士済々のホークス投手陣の中で、もがき苦しんできた右腕が必死に、貪欲にキャンプを送っている。

 プロ野球ファンで、この名を知らぬ人はいないだろう。2016年のドラフト1位。この年のドラフト最大の目玉で、ソフトバンクをはじめ5球団が競合した。鳴り物入りで入団したが、右肩の故障などもあってルーキーイヤーは1軍登板なしに終わった。

 2年目の昨季は、キャンプからA組に食らいつき、開幕1軍の切符を手にした。1軍デビューを果たしただけでなく、中継ぎとして10試合に登板。ただ、防御率8.56と結果を残せず、2軍に降格した。さらに夏場には体調不良で約1か月にわたって戦線を離脱。苦闘の1年を送った。

 迎えた3年目。再び宮崎キャンプでは主力組が中心のA組に組み込まれた。11日に登板したシート打撃では最速149キロをマークし、被安打1に抑えた。これまで球速の振れ幅が激しいことが課題だったが、この日は常時140キロ台後半を計測。「ストライク先行でいけたのでよかったです。逆球もあったけど、コースに決まった球は良かった」と本人も一定の手応えを得たようだった。

 田中にとっては「勝負の3年目」となる。先にも記した2年間の登板は昨季の10試合のみ。0勝1敗、防御率8.56とプロ初勝利もまだ挙げられていない。それだけに、今季に賭ける思いは強い。「2年間全く結果を出していないので、今年出さないと厳しいなっていうのはあります。去年の1軍での登板で足りないものを感じて、いまそれを練習している」と、その思いを語った。

 過去2年と比較すれば、順調なキャンプを過ごしている。練習中の表情は晴れやかで、笑顔も浮かぶ。シート打撃後に千賀や東浜から「どうだった?」と聞かれた際には、表情を緩め「良かったです!」と即答した。これまでよりも手応えを感じていることは確かだろう。

「まだ実戦には入ってないんで、ここからが本番だと思っています。これまでは正直そんなに誰とも差をつけられないので、これからかなと思っています。上で勝負できるようにするためには、もっと必要なこと、詰めていくところはある」と語る田中正義。その言葉通り、紅白戦や練習試合、オープン戦が始まるここから、生き残りをかけたサバイバルレースがスタートする。開幕1軍は掴めるか。そして、大器と呼ばれたその力が花開くか。田中正義の2019年に注目したい。

(福谷佑介 / Yusuke Fukutani)

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