「4番を誰が打つか分からない」――日ハム栗山監督が模索する19年打線構想

日本ハム・栗山英樹監督【写真:荒川祐史】
日本ハム・栗山英樹監督【写真:荒川祐史】

4番・中田にこだわらない「翔が悪いからでない。誰が何番というのはない」

 日本ハムは16日に沖縄・国頭で毎年恒例の1、2軍合同紅白戦を行う。甲子園準優勝右腕のドラフト1位の吉田輝星投手、同優勝右腕の同5位の柿木蓮投手が先発登板する一戦に注目が集まる。すでに栗山英樹監督は開幕投手を3月29日のオリックスとの開幕戦(札幌ドーム)の先発を上沢直之投手、同30日の2戦目を金子弌大投手に任せると発表。16日の紅白戦から注目されるのが開幕スタメン争いだろう。

 栗山監督が今季の打順構想の一端を披露したのは今季初の対外試合、韓国NC戦が行われた11日(同12日)だった。衝撃的だったのが今季の4番打者について。指揮官は12年の監督就任以来、4番には主砲・中田翔内野手を置いてきたが、その”こだわり”を捨てるのだという。現在は米アリゾナで負った左内転筋肉離れの影響で沖縄2次キャンプでは別メニューとなる見込みだが、「(4番を)誰が打つか分からない。一番勝ちやすい形をこっちも考えないといけない」と新たな打順を模索し続ける考えを明かしたのだ。

 11日の韓国・NC戦では台湾ラミゴから加入した王柏融が「3番・左翼」で先発。近藤健介捕手を「4番・三塁」で使い、清宮幸太郎内野手を「5番・一塁」で起用。新たなクリーンアップを組み、中田を6番で使った。このクリーンアップについて、指揮官は「近ちゃん(近藤)みたいに確率の高い打者がいると打線がつながることもある。何がいいか先入観を捨てて。いろんな形を見て、どういう風につながるか見てみるべき」と説明。さらに、こう続けた。

「今までとメンバーが違うから。こういうメンバーがいるなら、こういう(打順の)並びの方が勝ちやすいとか出てくるじゃん? こっちは『4番を打ちたい奴が4番を打って』と(選手へ)言っている。4割40本を打ったら、(その選手が)4番を打っていいだろ。(4番を)誰が打つか分からない。(それが)翔なのかもしれないけど」

 誰が4番を打つか分からないー。どっしりと4番に座る中田は他球団の脅威。それを見慣れたファンからすればショッキングな発言にも聞こえるが、決して中田への信頼感が薄れたからではない。新たな野球観を口にした。

「誰がどうではなくて、どういう風に並んだら勝ちやすいかということ。(救援投手が先発投手として短いイニングを投げる)オープナーと考え方と全く一緒で、野球が進化している。だから、打順にこだわっている場合じゃない気がしている。俺が翔にずっと言ってきたのは『チームを勝たせるのが仕事なんだ』と言ってきた。こっちも一番勝ちやすい形を考えないといけないだけの話。翔がいいとか悪いとか、そういうことでは全然ない」

 最も効率的に得点できる打順を模索し続けるー。これが栗山監督が自身へ課したテーマのようだ。奇しくも不動の4番・中田が故障により戦線離脱。チームにとっては大きな痛手だが、この”空いたポジション”でチーム競争は激化する。これまでも激しいチーム内競争が日本ハムを支えてきた。

「誰が何番という、こだわりはない。勝つためにしか組まない。(打順は)俺が探っている」

 3年ぶりのリーグ制覇&日本一へ若手の成長は欠かせない。中田の穴を埋めるのは清宮なのか、王柏融なのか、それとも新たな選手なのか。新たなるアピール合戦と共に、栗山監督がどんな打順を組むのか注目だ。

(盆子原浩二 / Koji Bonkobara)

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