意外に多い投手から打者転向組…川上、柴田、石井琢ら史上に残る強打者誕生

巨人V9時代を支えた韋駄天・柴田も投手として入団

 柴田勲は、法政二高時代にエースとして夏春連覇。南海などとの争奪戦を経て、巨人に投手として入団。1年目から1軍のマウンドに上がるも0勝2敗、防御率9.82と奮わず、翌年から外野手にコンバートされる。抜群の俊足で、巨人V9時代のリードオフマンとして活躍。盗塁王を6回獲得した。NPBの本格的なスイッチヒッター第1号でもあった。投手としては0勝だったが、打者として2018安打を記録した。

 平成の選手としては、石井琢朗が記憶に新しい。1988年に投手としてドラフト外で大洋に入団。1年目に初勝利を挙げるも、以後は鳴かず飛ばす。1992年に内野手に転向し、93年に盗塁王を獲得するとするなどリードオフマンとして活躍。1998年の横浜優勝時には選手会長だった。盗塁王4回、最多安打2回のタイトル歴を誇り、投手としては1勝、打者として2432安打だった。

 現役では、ヤクルトの雄平(高井雄平)がいる。2002年に東北高からドラフト1巡目でヤクルトに入団。先発、中継ぎで起用されたが、2008年から1軍での登板が減り、2009年オフに外野手に転向した。しばらくは2軍暮らしが続いたが、2014年にレギュラーに定着すると3割をマーク。2015年のリーグ優勝にも貢献するなど、現在も中軸打者として活躍している。投手としては18勝、打者として736安打の成績だ。

 阪神の糸井嘉男も忘れてはならない。2003年ドラフトの自由獲得枠で日本ハムに入団。入団後2年は2軍で通算36試合に登板し、8勝9敗3セーブの成績を残したが、2006年に野手としての素質を見込まれて外野手に転向。2007年に1軍デビューを果たし、2009年にレギュラーとして定着すると、同年から6年連続で打率3割をマークした。2013年にオリックス移籍後は首位打者(2014年)、盗塁王(2016年)を獲得。2017年に阪神移籍後も中軸として打線を牽引する。

 こうしてみると、投手から打者への転向は決して少なくない。白村の場合も打撃センスを評価されてのコンバートであり、成功する可能性は十分にありそうだ。

(広尾晃 / Koh Hiroo)

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