イチローがアクシデントで見せた人間力 死球を当てた2投手を救った言葉

「ライブBP」で打席に立ったマリナーズ・イチロー【写真:木崎英夫】
「ライブBP」で打席に立ったマリナーズ・イチロー【写真:木崎英夫】

ライブBPで盟友ヘルナンデスから右足に死球も…

 オープン戦初戦を翌日に控えた20日(日本時間21日)、実戦形式の打撃練習(ライブBP)で今季の復活が期待されるフェリックス・ヘルナンデスとイチローが対峙。注目の顔合わせに、キャンプ地の簡易スタンドはにわかにファンで埋まったが、予期せぬ事態が待っていた。

 空振りをした直後の5球目、曲がりの速いスライダーがイチローの右足をショートバウンドで襲う。右足を踏み込んだ直後とあって、さすがのイチローも避けきれなかった。

「あー!!」

 激痛が走ったのか、大きな声を張り上げたイチローは、バランスを崩して両手で地面を着き、手から離さなかったバットを地面に押し当てて、最後は左足1本で立ち上がった。ヘルナンデスは心配そうにマウンドから駆け寄ったが、イチローは練習を継続。次の打席にも入ったが4球で終えると、残りのメニューを残してクラブハウスへ引き上げた。その際にヘルナンデスは再度歩み寄り、イチローを気遣った。

 援護の少ない試合も粘投で勝機を作ったヘルナンデスと、噛み合わない打線を牽引し続けたイチローは、長きに渡り低迷してきたマリナーズを支え続けた両雄。その2人が、報道陣もまばらになったクラブハウスで心を通わるシーンがあった。

「地味に痛い。無理しても仕方ない」

 この言葉を残して消えたイチローが、アイシングを終えて戻ってきた時だった。中南米出身の若手らと談笑していたヘルナンデスの姿を見るや否や、おもむろに右足を引きずり出した。イチローがその輪に向けて発した流暢なスペイン語が、彼らの爆笑を誘う。すると、笑いを収めたヘルナンデスが、こう返したのだった。

「My Bad!(俺が悪い!)」

 騒然となった出来事などまるでなかったかのように、2人は柔和な空気を醸した。

1年前の3月、練習試合で頭部に死球を受けるアクシデント発生

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