新生マリナーズを支える言葉の力 スローガンに「改善」を選んだ指揮官の思い

NFLの名将ビンス・ロンバルディは「マイヒーロー」

 サービス監督はウィスコンシン州の出身で、NFLチャンピオンに4度輝いている同州の名門チーム、グリーンベイ・パッカーズの大ファンだ。そして1959年から68年の9年を指揮したヘッドコーチ、ビンス・ロンバルディをヒーローに挙げる。スーパーボウル第1回、第2回大会を制したロンバルディは多くの明言を遺したことでも知られている。

 いくつか挙げると……

「成功が努力よりも先にくる唯一の場所は、辞書だけである」

「勝敗は関係ない? だったら、なぜスコアをつけるんだ?」

「勝利は習慣になる。敗北も同様だ」

「リーダーは生まれつきのものではない。努力と懸命な働きで作り出されるものだ」

 ロンバルディの言葉には、人生のアフォリズム(格言)にもなるようなものが多い。その名将を「マイヒーロー」と呼ぶサービス監督がスローガンに挙げた2文字が正直、当初は安直にも思えたが、話を聞き終えると、指揮官の心を育んできた“智慧の塊”から抽出されているようにも感じられるから不思議だ。

 人は言葉によって生かされる――。

 勝負の世界に限らず、言葉の持つ力がどれだけのものかを改めて考えさせられた取材だった。

(木崎英夫 / Hideo Kizaki)

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