西武ドラ3山野辺、開幕生き残りへプロ1号 試合前に広島鈴木の打撃から“学び”

西武・山野辺翔【写真:安藤かなみ】
西武・山野辺翔【写真:安藤かなみ】

同僚・駒月から「引っ張っていいんじゃないか」、取り戻した思い切り

■広島 10-4 西武(オープン戦・3日・長崎)

 西武のドラフト3位ルーキー・山野辺翔内野手が3日、広島とのオープン戦(佐賀)でオープン戦初安打となるレフトへのソロホームランを放った。この日は外崎に代わって途中出場。1打席目はライトフライに倒れたが、最終回に迎えた2打席目ではカウント1-1から広島・菊池保の直球を捉え、左翼席に運んだ。

「初球のストライクボールを見逃してしまって、次は外の変化球がきた。『もしかしたらインコースがくるんじゃないか?』と思った。プロの球に打ち負けないように、タイミングを早く取ったり、構えもちょっと小さくやっていきました」と打席の中でも思考を巡らせた。ベンチでチームメートにハイタッチで迎えられ「ナイスパンチ力!」と声をかけられると、笑みがこぼれた。

「初めていい感じでした」とホームランの感触を振り返る精悍な顔立ちに、安堵の表情がにじんだ。宮崎・南郷で行われていたキャンプでは辻監督はじめコーチ陣から徹底的に守備を叩き込まれ、実戦形式の練習でも安打性の当たりを放っていたが、本格的な対外試合がスタートするとチャンスは激減。「二塁・外崎」が先発出場する日は、途中出場でアピールを続けていた。

 逆方向への意識が、山野辺を迷わせた。「(打席が少ないのは)僕のアピール不足ですけれど、打席が少ないとどうしても受け身になってしまって、ボールを見てみたくなる。(ボールを)引き付けたくなってしまって、今までダメな結果だった」と分析する。入団時から小柄ながらパンチ力もあると評されたが、「詰まった内野フライが多くなっていました」と自身のアピールポイントも見失いかけていた。

 この日の試合前に、同じく開幕1軍を目指す駒月仁人捕手から「いつもと違う。引っ張ってもいいんじゃないか」と声をかけられ、打席の中での思い切りを取り戻した。「走者もいなかったので、自然体で行けました」とチームメートの助言に感謝した。

 試合前には、自軍の練習が終わり、選手たちがみな引き揚げた後もベンチに残った。広島・鈴木誠也外野手のバッティング練習を阿部打撃コーチとともに見学するためだ。「『ヘッドを使うように』と阿部コーチに言われていたんです。鈴木選手がヘッドを使うスイングをするということで、どういう練習をしているのか(阿部コーチから)聞いていました」と、セ・リーグを代表する好打者から学びも得た。「まだできていないですけど」と苦笑いを浮かべた山野辺。高校時代は補欠。桜美林大学から三菱自動車岡崎を経てプロ入りした男が、全てを糧にのし上がる。

(安藤かなみ / Kanami Ando)

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