【森脇浩司氏の目】広島ドラ1小園が持つプロで必要な3つの条件とは

「凡打するほどに次ぎに期待し見たくなる選手」

 彼が高校2年の選抜大会で左投手からストレートタイミングで見逃した直後の2-1からのカーブを見事にホームランした時にこのことは確認出来る。また、昨年神宮で行われた侍壮行試合で松本航投手(現西武)から2ストライク後の147キロのストレートをライトスタンドにホームランしたのは開かず強引にならずにアジャストした結果によるものだ。

 2ストライクまでと2ストライク後では打者の条件は180度変わることを彼は体で知っている。アスリートに限らず向上する為には修正、処理、学習の3つの能力はいつも求められる。彼を見る時いつもそれを強く感じるのだ。

 さて今日のホームランに話題を戻そう。2ストライク後の直球をコンパクトに振り抜いた見事な打球だった。いつもの様に早い始動から右足を大きく動かし、しっかりボールに入っていく。あの体勢だと球の見極めもでき、際どい球はカットすることも可能だ。追い込まれたということで頭の中だけでなく、よりコンパクトな打撃をする為に力が分散しないよう体の内側を意識したように私には見えた。

 頭と体の準備で生まれた一発だ。トップの位置が程よい高さにあり、振り出す時に一瞬の何とも言えない抜群の間がある。スイング軌道も素晴らしいタイミングと柔軟な下半身のリードで申し分ない。ホームラン同様、第1打席の内野安打も彼を大きく成長させるだろう。追い込まれている状況の中で何割くらい変化球をマークしているのかは分からない。プロの投手相手にあくまでもストレート1本のタイミングで際どい球をどれだけカット出来るか試しているようにも見える。いずれにせよ、凡打するほどに次を期待し見たくなる選手であるということだ。

 プロでのキャリアはまだ始まったばかりだが、幼い頃から続けている野球のキャリアは10年以上だろう。恐れることは何もない。自分の思うようにチャレンジして欲しい。下半身がへばると今のようにはいかないことは承知の上だろう。結果が全ての世界だからこそプロセスを大切にして欲しい。壁にぶつかる度に人は賢者になり、乗り越えることで強者になる。目が離せない選手だ。

◇森脇浩司(もりわき・ひろし)

1960年8月6日、兵庫・西脇市出身。現役時代は近鉄、広島、南海でプレー。ダイエー、ソフトバンクでコーチや2軍監督を歴任し、06年には胃がんの手術を受けた王監督の代行を務めた。11年に巨人の2軍内野守備走塁コーチ。12年からオリックスでチーフ野手兼内野守備走塁コーチを務め、同年9月に岡田監督の休養に伴い代行監督として指揮し、翌年に監督就任。14年にはソフトバンクと優勝争いを演じVの行方を左右する「10・2」決戦で惜しくも涙を飲んだ。17年に中日の1軍内野守備走塁コーチに就任し18年まで1軍コーチを務めた。球界でも有数の読書家として知られる。178センチ、78キロ。右投右打。

(橋本健吾 / Kengo Hashimoto)

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