「クラブハウスでコーヒーを…」ヤクルト青木が大切にするチームの輪【青木宣親・田中浩康対談・後編】

「学生と一緒に悩んだらいいんじゃないかな?」

 青木「あとは、学生と一緒に悩んだらいいんじゃないかな? 野球は変化している。トレーニングの成果かもしれないけど、昔の投手より今の方が球は強い。時代の変化に敏感になって勉強した方がいい。これだと決めつけないこと、いろいろな引き出しを持っていること。相手に納得してもらって、自信をつけてもらうことが一番」

 田中「自信を持つことは大事ですよね」

 青木「すごく大事。自分たちだって、結果が出なくて悩む時はある。打席に立つのが怖い時だってある。自分が打てない時の状態って、自分の中で分かるでしょ? その時って怖いよね。結果が分かっちゃっているわけだから」

 田中「そういう感覚と(現役だった昨年まで)戦っていましたね」

 青木「あれって、結構きついでしょ?」

 田中「きついです」

 青木「なぜ今、不振なのかが、理解するためには、自分で本来の形をわかっていないと元に戻れない。いつも、いつも打てるわけではない。長丁場だからコンディションも違ってくる。なぜ打てなかったか、コンディションが崩れたかを学ぶ必要ある。それが理解できていれば自信が持てる」

 田中「自信を付ける練習が大切ですね」

 青木「なんだかコーチへの助言になってしまったね(笑)」

 田中「目からうろこです。僕も自信を付けていただいたコーチの方々に、良きタイミングで出会うことができたと思っています」

 青木「ネガティブなことを言うと人はネガティブになる。脳みそは錯覚、勘違いをするから、指導したことができていない時でも『できている』と言われるとできることもある」

 田中「ポジティブな脳みそにしないと」

 青木「そういう考えの方がプロに向いているかもしれない。三振をして『あーっ』と落ち込んでいる人はなかなか立ち直ることはできない。はい、次!次!と切り替えられるようになるには、日々のポジティブシンキングがすごく大事」

 田中「学生は4年しかないですから、いかにチャレンジさせられるかですね。今日は貴重なお話をありがとうございました」

青木宣親(あおき・のりちか) 1982年1月5日生。37歳。日向高校(宮崎)から早大を経て、04年にドラフト4巡目でヤクルトに入団。2年目の05年にシーズン200安打を達成。2010年にも達成し、史上初2度のシーズン200安打をマーク。新人王、最多安打2回、首位打者3回、盗塁王1回、ベストナイン7回、ゴールデングラブ賞6回。2011年オフにポスティングシステムを利用し、メジャー移籍。ブルワーズ、ロイヤルズ、ジャイアンツ、マリナーズ、アストロズ、ブルージェイズ、メッツと渡り、昨年ヤクルトに復帰した。06,09,17年WBC日本代表。

田中浩康(たなか・ひろやす) 1982年5月24日生。36歳。尽誠学園(香川)から早大を経て、05年にドラフト自由枠でヤクルト入団。粘り強い打撃と堅実な守備で活躍した。16年オフに戦力外通告を受けてDeNAに入団。二塁手でベストナイン2回、ゴールデングラブ賞に1回。通算302犠打は歴代5位。noteで有料マガジン「セカンド・ライフ」を執筆中。

(楢崎豊 / Yutaka Narasaki)

RECOMMEND

CATEGORY