阪神藤浪に左打者ばかり起用したホークス 右打者を“避けた”真意とは…?

阪神・藤浪晋太郎【写真:荒川祐史】
阪神・藤浪晋太郎【写真:荒川祐史】

2日のオープン戦で打者7人は全て左打者に、打撃コーチが語った「意図」は?

 3月2日、ヤフオクドームで行われたソフトバンクと阪神のオープン戦。7回から阪神の5番手としてマウンドに上がったのは藤浪晋太郎投手だった。

 現在、制球に苦しみ、キャンプ中の対外試合などでも右打者の内角へ抜けるボールがあるなど、課題を突きつけられている右腕。この試合で、ソフトバンク側が藤浪に対して、左打者ばかりを打席に立たせ、中には途中出場の右打者を打席に立たせることなく左打者を代打として送ったりもした。

 7回の先頭では右の西田に代えて、左の栗原を代打に起用。さらに右の塚田に代えて、左の釜元を送った。周東、谷川原、高田、高谷、そして福田と、藤浪が対戦した打者7人は全て左打者。右打者への死球を警戒したのでは? と、この起用は注目を集めることとなった。

 実際、ソフトバンク側のこの起用策の真意はどこにあったのか。藤浪の制球難を恐れ、怪我を予防するための措置だったのだろうか。

 ソフトバンクの立花義家1軍打撃コーチは、この藤浪の制球難を警戒した、という憶測を否定する。「そういう意図はなくて、単純に左打者の打席に立っている数が少なかったから、左打者を打席に立たせたかった」。オープン戦真っ只中。控え選手たちにもある程度の打席数を立たせる必要がある。ここまで実戦での打席数が比較的少なかった打者に、打席を与えるために起用したことで左打者ばかりになったという。

「ロッテのコーチをしている頃から藤浪はいい投手だと思っていた。最近、コントロールのことを言われるようになっているけど、彼はいい投手。そういういい投手の時に打席に立つのは、ウチの左打者にとってもいい機会になる」とも立花コーチは語った。

 現在1軍に帯同する野手の中で、捕手では谷川原、栗原、高谷、内野手では高田、川瀬、周東、外野手では福田、釜元と左打者が多い。右打者で控えとなるのは内野手で川島、西田、外野手では塚田、真砂くらい。この4人は、実際に左のメンバーよりも出場機会は多い。

 藤浪の制球への不安が全くなかったわけではないだろうが、ソフトバンク側の考えは、左打者へ打席を与えるもの。立花コーチは「ウチには左打者も控えに多い。ああいう言われ方は藤浪がかわいそう」とも。実際、この日の藤浪は大きく制球を狂わせることなく、2イニングを無失点に抑えた。エンゼルスの大谷翔平と双璧を成す逸材と言われてきた藤浪。剛腕の復活を願いたい。

(福谷佑介 / Yusuke Fukutani)

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