サッカー版“キャッシュレス開幕”で見えたもの 楽天が神戸で得た収穫と課題

ハーフタイムの大混雑も…

 スタジアム入口に設置されたキャッシュレスデスクも大きな混乱はなく、15時3分のキックオフを迎えた。当日のキャッシュレスデスクでお客様対応を行った楽天株式会社の鈴木修氏は「混乱は思ったほどありませんでした。(現金が使えないことで商品購入を)諦めてしまう、帰ってしまうお客様がいるのでは? と思っていましたが、それもありません。お客様からのクレームもほぼなく、店舗オペレーションも不慣れなところはほぼなかったですね」と満足気な様子を見せていた。

 キックオフの時点で売上目標を突破するなど、現金が使えないことによるマイナス効果はなく、むしろプラスの影響が見えていた“キャッシュレス開幕”。楽天株式会社執行役員で楽天ペイ事業部を担当する小林重信氏は「ファンの方がありがたい存在で、我々の挑戦を温かい目で見てもらっています」と感謝の思いを明かした上で「安心して使っていただくことを目標にしていて、売上目標も到達できたのはよかった。今日まで周到に用意してくれたスタッフにも感謝です」とこちらも笑顔を浮かべた。

 いよいよキックオフ。前半は神戸が優位に試合を運ぶも0-0でハーフタイムに。サッカースタジアムで来場者が最も動く15分間に突入した。多くのファンが席を立ち、トイレや飲食物、グッズの購入へと向かい通路は大混雑。商品を注文する声と楽天Edy独特の「シャリーン」という音が鳴り響く。子どもたちも飲み物を購入して、楽天Edyで決済を進める。父親と来場したという小学校3年生の2人組は「ラクでした」口をそろえる一方、保護者からは「現金を持たなくてもいいのですが、残高がわかりにくいのは難しいですね」と、この日、来場者全員に配布された楽天Edyに対する注文ものぞかせた。

 試合前日にはチケット完売、満員となる2万5172人の観衆がノエスタに詰めかけていたこともあり、決して商品購入の行列がスムーズに行くことはなかったが、もしここに現金決済が残っていたとしたら、後半9分にビジャが決めたJリーグ初ゴールを見逃したサポーターが多くいたかもしれない。試合はそのまま1-0でヴィッセルが勝利。イニエスタ、ビジャ、ポドルスキはフル出場し、見せ場を作るなど神戸のサポーターにとっては大満足の一戦となっただろう。

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