今季限りで現役引退の日ハム田中賢が胸中語る 「開幕スタメンを目指しています」

ラストイヤーにやるべきことは1つだけ

 日本ハム復帰してから5年、ついに19年限りでユニホームを脱ぐ決断をした。最後の目標は優勝、そして再び日本一になることだ。

「それしかないですね。そのために考えているのはコンディションをしっかり保つこと。そのうえで自分に与えられた役割を全うして結果を残していきたい」

 代打などどんな役回りでも全うする考えだが、周囲はそうでもないようだ。城石コーチはそれ以上の存在であるという。

「本人はどう思っているかわからないけど、代打だけじゃなく先発出場というのも十分にあると思う。技術的には超一流なわけだし、相手からしてもあれだけの実績がある選手が先発なら絶対に嫌だと思う。もちろん140試合すべて先発というのは現実的ではない。でも、スポット的に絶対にここは先発で出てほしいという時もある。そのためにも本人、そして周囲がしっかりとコンディションなどを見極める必要がある」

 実際、試合に出れば結果を残している。18年は67試合に出場して打率.295。しかも、スタメン出場14試合では3割後半の高打率を残している。

「今、考えているのはとにかく開幕に合わせること。そこで最高のパフォーマンスを発揮できるように試行錯誤している。もしかすると、そこでうまく波に乗れてシーズンにはいっていけるかもしれない。だからこそ開幕スタメンを目指しています」

 引退イヤー特有の寂しさなど微塵も感じさせない。戦力の一員として頂点を目指す戦士の姿がそこにはあった。建設が決まった新球場で、その勇姿をみることはできない。しかし北海道移転後、数々の輝かしい歴史を刻んできた札幌ドームこそ最後にふさわしい場所かもしれない。田中賢の勇姿を見られる19年開幕はもうすぐだ。

(山岡則夫 / Norio Yamaoka)

山岡則夫 プロフィール
 1972年島根県出身。千葉大学卒業後、アパレル会社勤務などを経て01年にInnings,Co.を設立、雑誌Ballpark Time!を発刊。現在はBallparkレーベルとして様々な書籍、雑誌を企画、製作するほか、多くの雑誌やホームページに寄稿している。最新刊は「岩隈久志のピッチングバイブル」、「躍進する広島カープを支える選手たち」(株式会社舵社)。Ballpark Time!オフィシャルページ(http://www.ballparktime.com)にて取材日記を定期的に更新中。

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