開幕戦は万雷の拍手で交代も無安打 イチローの打撃の“神髄”は戻ってくるか

「詰まることを恐れない」スイングは戻るか

 かつてイチローは打撃の持論で大切にする部分をこう称している。

「早く手を出す人はダメですね」

 09年、イチローはツインズのスター捕手ジョー・マウアー(昨季限りで引退)と熾烈な首位打者争いを展開した。球宴前にマウアーは規定打席に到達しイチローを抜いて首位打者に浮上。マウアーは打率.373で前半戦を折り返し、超ハイレベルなデッドヒートは当時一番の注目を集めた。大柄でありながらしなやかなスイングで安打を量産するライバルの打撃をイチローも称賛していたのを思い出す。イチロー曰く「手が遅く出てくるのがいいね」。

 右肩の開きを抑え引っ張らずに“我慢をする”真骨頂のスイングは米国でのオープン戦から未だお披露目できずにいる。

「まあ、特別な開幕です。見ているファンの人たちもちょっと違う雰囲気に感じましたね。ジャイアンツとやっていた時は練習っぽい雰囲気が全体にありましたが、今日は全くなかったです」

 息をのむ真剣勝負の第2戦出場が明確になった21日の打席で、イチローの打撃の神髄「詰まることを恐れない」スイングは戻ってくるか。

(木崎英夫 / Hideo Kizaki)

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