「純粋のセットアッパー」 日本ハム宮西が築いた300ホールドの金字塔

宮西は636試合に登板しセーブはわずか「3」

 宮西を一言で評するならば「純粋のセットアッパー」ということになる。

 ホールド数上位5投手の登板数の内訳を見よう 完了は試合の最後に投げてゲームを終わらせた試合数(セーブシチュエーションを含む)。

宮西尚生 636登板(0先発563中継ぎ73完了)中継ぎ比率88.5%
山口鉄也 642登板(2先発522中継ぎ118完了)中継ぎ比率81.3%
浅尾拓也 416登板(12先発317中継ぎ87完了)中継ぎ比率76.2%
マシソン 393登板(0先発269中継ぎ124完了)中継ぎ比率68.5%
五十嵐亮太 782登板(0先発506中継ぎ276完了)中継ぎ比率64.7%

 山口は史上初めて250ホールドを記録した投手であり、浅尾はセットアッパーとして初めてMVPを受賞した投手だ。2人とも「ホールド記録のパイオニア」というべき存在だが、宮西の中継ぎ比率は2人を大きく上回る。一度も先発したことがないばかりか、試合の最後にマウンドに上がることもほとんどなかったのだ。宮西のセーブ数はわずか「3」、山口は「29」、浅尾は「23」、マシソンは「53」、五十嵐は「70」。

 多くのセットアッパーは一度はクローザーへの配置転換を経験するものだが、宮西はそういった経験もほとんどなかったのだ。先発投手と異なり、救援投手は登板の機会が突然告げられる。だから「上がり」の日は少ない。毎試合のようにブルペンに詰めなければならない。1試合の間に何度も肩を作ることもある。非常に過酷な持ち場なのだ。

 先発投手に比べると日の目を見ることが少ない救援投手だが、宮西尚生の300ホールドは球史に残る大記録だといえるだろう。

(広尾晃 / Koh Hiroo)

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