西武金子侑、野球の神様を振り向かせたサヨナラ打 赤田Cと二人三脚で定位置つかむ

西武・金子侑司【写真:荒川祐史】
西武・金子侑司【写真:荒川祐史】

4日の楽天戦で延長11回にサヨナラ打を放った金子侑

■西武 7-6 楽天(4日・メットライフ)

 西武・金子侑司選手が4日の楽天戦(メットライフ)で延長11回にサヨナラタイムリーを放った。ベンチから飛び出してきたチームメイトから手荒い祝福を受けながら、両手を高く突き上げて喜びを爆発させた。「(二塁走者の)中村さんがホームまで帰ってきてくれて、本当に良かった」と胸をなでおろし、「気持ちよかったです」と歓喜のシャワーに酔いしれた。

「1番を打ちたい」と目標を掲げてきた2016年の盗塁王。キャンプから猛アピールを続け、やっと定位置をつかんだ。それでも、簡単にはいかなかった。開幕カード3試合ではわずか1安打のみ。帰京すると、休日返上で練習を行った。

 キャンプ中から金子侑の練習を見守り続けていた赤田打撃コーチは「昨年の秋から“やらないといけないよ”と話していた。”何かあったらお願いします”と言われていたし、休みだろうと関係ない」と同じく休日を返上し、練習に付き合った。「レギュラーとして1年間出るためには、結果を残さないといけない。その考えが、行動にも移ったんじゃないかな」と同コーチが話すように、金子侑は試合が終わるとバットを担いで室内練習場に向かい、ひたすらに振り込み続けた。

 前日の試合では5回2死一塁の場面でサードへ強烈なライナーを放ったが、三塁手の好守に阻まれた。「感じがいい打席も結構多くあった。その中でもヒットが出ない。もどかしさもありましたし、感情が出そうになった」。不甲斐なさが頂点まで募った。

 感情のままにバットを地面に叩きつけそうになったが、思いとどまり、手を止めた。ぐっと悔しさを押し殺した。「でも道具に当たるのは違うと思いますし、子供たちも見ていますし、そこはこらえてよかったかな」と苦しい中でも“プロ野球選手”としての矜持を忘れることはなかった。

 赤田打撃コーチは金子侑の姿を見て、こうも言っていた。「野球の神様は見ている。たぶんね、そう思いたい」。ひたむきに取り組んだ時間と、一時の感情に流されることのない心が、それまでそっぽを向いていた野球の神様を振り向かせたに違いない。

(安藤かなみ / Kanami Ando)

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