天敵有原を攻略したロッテ荻野の“足” 井口監督も称賛「タカシの走塁大きかった」

ロッテ・荻野貴司【写真:荒川祐史】
ロッテ・荻野貴司【写真:荒川祐史】

鈴木の空振り三振時に三塁を陥れる好走塁「本能で動いた」

■ロッテ 5-3 日本ハム(6日・ZOZOマリン)

 ロッテは、6日に行われた日本ハム戦で、有原航平投手の攻略に成功した。今季2戦2敗と苦手としていた“天敵”の出鼻をくじいたのは”幕張の韋駄天”荻野貴司外野手の足だった。

 2018年は1勝4敗、防御率2.80、2019年は0勝2敗、防御率1.38。これが、試合前時点でのここ2年のロッテ対有原の成績だった。

 これまでの対戦で「向こうに気持ち良く投げられていると感じていた」という荻野。「なんとか、どうにか崩せたら」という思いを胸に、初回の打席に入った。初球、荻野はいきなりセーフティーバントを試みる。「自分の打撃もあまり好調ではない中、ピッチャーもいいピッチャーだったので」。その揺さぶりと高い集中力が勝ったのか、続く2球目。初球と同じような軌道のスライダーをセンター前に運び、出塁することに成功した。

 無死一塁。「なんとか、どうにか崩せたら」のきっかけを得た荻野。「『走ってもいいよ』のサインが出ていた」と、2番鈴木の2球目にスタート。日本ハムバッテリーが外角高めに外した直球だったが、俊足が勝り今季7個目の盗塁を成功させた。

 無死二塁と得点圏に進み、有原の牙城にわずかなほころびが生まれる。追い込まれた5球目のフォークに鈴木は空振り三振。だが、ここで捕手の石川亮がそのボールをわずかに前に弾いた。空振りした鈴木は振り逃げを狙って一塁へ走る。捕手の石川亮は荻野を2度視線で制して一塁へ送球。次の瞬間、”幕張の韋駄天”は帰塁に舵を切るのではなく、三塁方向を選択。一気に加速し、まんまと三塁を陥れた。

「あれは…自分でもよく説明できないのですが、本能で動いたというか、気づいたら走っていたという感じで、頭で考えていたわけでなく、感覚的な感じ。体が反応したという感じでした」

 自身の走力への絶対的な自信と、先の塁への高い意識。そして、状況を瞬時に判断できる集中力が生んだ好走塁で、有原に大きなプレッシャーを与え、3番角中がきっちりと左犠飛。強固だと思われた有原から初回に先制点を奪うことに成功した。

「隙をついたタカシ(荻野)の走塁は大きかった」。井口資仁監督は、前日打順変更を示唆しながらも1番に据えた荻野の走塁を称賛し「これからも、こういう野球を続けていきたい」と改めて自らが求める戦い方について語った。

 5月に入り、1番に復帰した当初の好調ぶりが影を潜め、試合前までの5試合で21打数3安打、打率.143と調子を崩していた荻野。「僕自身も塁に出て走って、リズムができる」と初回の”足攻”が呼び水になったのか、続く第2打席にもセンター前ヒットを放ち、4試合ぶりのマルチ安打を記録。「僕自身にとっても、チームにとってもいいリズムで行けるんじゃないかな」。8日から始まる今季未勝利の西武戦でも、その俊足でチームに良いリズムを巻き起こす。

(岩国誠 / Makoto Iwakuni)

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