西武ドラ1松本航、悔しさ糧に5回2失点でプロ初勝利 「自分を見つめることができた」

プロ初勝利を挙げた西武・松本航(右)と辻監督【写真:安藤かなみ】
プロ初勝利を挙げた西武・松本航(右)と辻監督【写真:安藤かなみ】

ソフトバンクのドラ1甲斐野とは兵庫県選抜チームで共に汗を流し、全国優勝

■西武 9-3 オリックス(19日・京セラドーム)

 西武のドラフト1位ルーキー・松本航投手が19日のオリックス戦でプロ初先発し、5回2失点で初勝利を挙げた。松本航はウイニングボールを手に「ほっとしました」と安堵の表情を見せた。

 初登板でたかぶっていた気持ちも、一度マウンドに上がると不思議と落ち着いた。「色々(打者に対する)対策もあるかもしれないけど、自分のボールをしっかり投げられればいい」とバッテリーを組む森に声をかけられ、初回から女房役のミットめがけて懸命に腕を振った。

 3点リードで迎えた5回には1死二、三塁から適時打と犠飛で2点を失ったが、「最少失点で行きたいと思っていた」と粘りの投球を心がけた。2死一、二塁とピンチが続く場面で好調の大城を迎えるも、10球粘られながら最後は低めのカットボールで遊ゴロに仕留め、リードを守り切って降板。5回2失点と試合を作り、初勝利を手にした。

 日本体育大学から西武にドラフト1位で入団した松本航。回転数の高いストレートを武器に首都大学リーグでは菅野智之(巨人)以来の「通算30勝&300奪三振」を達成し、大学日本代表に選ばれるとエースとして国際舞台でもその力を発揮してきた。

 西武入団後はローテーション入りが確実となっていたが、3月下旬に軽度の肺炎を患い、療養を余儀なくされた。自らの調整が遅れる間に、同世代のルーキーが1軍の舞台で躍動し始めていた。その中でもソフトバンクのドラフト1位・甲斐野央(東洋大)とは中学時代に兵庫県選抜チームで共に汗を流し、全国優勝を勝ち取った仲だ。「悔しかった。自分もそういう舞台で早く投げたいと思っていた」とふがいなさが募った。療養で落ちてしまっていた筋力を取り戻しながら、ゲームには4月中旬に復帰。万全な状態でこの日の1軍初先発に挑んだ。

「悔しさを持ちながらずっとやってきた。自分を見つめることができたし、ポジティブに捉えている。いい時間だったと思います」と穏やかにほほ笑んだ松本航。同級生たちに先を越されてしまったが、この日やっと勝利にたどり着くことができた。この時間を糧に、誰にも負けない投手になってみせる。

(安藤かなみ / Kanami Ando)

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