巨人菅野、不調の要因は…データから分析、カウント球に課題?

ストレートのコース分布図【画像提供:DELTA】
ストレートのコース分布図【画像提供:DELTA】

厳しいコースへの投球が招いたカウント悪化

 菅野に何が起こっているか、2ストライクでの投球が減少しているというデータから2つの可能性が考えられる。1つは早いカウントで打球を前に飛ばされ、2ストライクまでたどり着く打席が少ない可能性。もう1つはボール球が増え、2ストライクにたどり着くまでの球数が増えている可能性だ。

 2つのうち今季のケースは後者に該当しそうだ。0・1ストライクでの投球のボール割合は過去3年間32.4%だったが、今季は36.1%にまで増加。カウント球がうまく機能していないようだ。

 カウント球に注目したとき、特徴的な結果が出ているのがストレートである。ストレートは菅野が0・1ストライクで投じる割合が最も高い、代表的なカウント球である。図はその菅野のカウント球としてのストレートがどういったコースに多く投じられたかの分布を表したものだ。投手の目線でストライクゾーンを見ており、赤色が濃いほどに高い割合で投げられたことを示している。

 菅野がストレートを投げるとき、捕手は一塁側のコースに構えることが多い。右打者の外角、左打者の内角である。このせいもあって分布を見ると、昨季と今季ともに一塁側のコースへの投球が多い。しかしよく見比べると、昨季のストレートは最も濃い赤色が真ん中を超えるあたりにまで侵入している。外角だけでなく、ゾーンの真ん中周辺への投球も多かったようだ。一方、今季は一塁側のゾーン境目周辺に最も濃い分布が集中。今季のほうがより細かく制球できている印象だ。

 厳しいコースに投げ込めているのは一見悪くない傾向にも感じる。しかしこれはあくまでもカウント球である。ここまで厳しく投げこむ必要はないのかもしれない。結果としてこのカウントでのストレートのボール割合は、昨季の30.5%から37.9%に上昇してしまった。

 また同じように、カウント球でのツーシームは32.3%から38.7%へ、スライダーは30.3%から34.0%までボール割合が上昇している。ストレートを含めた3球種は菅野の0・1ストライク時の投球の大半を占める球だ。これらの球によるボール増加が2ストライクでの投球割合低下を招いたようだ。

厳しいコースに投げざるをえなかった可能性?

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