スピードスターは一体誰? 二塁到達タイムのパ1位は野手歴わずか1年半の元投手

左上から時計回りに西武・秋山、オリックス・佐野、楽天・オコエ、日本ハム・中島【写真:荒川祐史】
左上から時計回りに西武・秋山、オリックス・佐野、楽天・オコエ、日本ハム・中島【写真:荒川祐史】

「もう二塁まで!?」と驚く超速走塁が二塁打の魅力

 2018年シーズンで両リーグ計2577本。本塁打の1681本よりもはるかに多く飛び出しているのが、二塁打だ。一三塁線上を破ったり、外野手の間を抜いたりと、プロ野球では見慣れた光景になっている。打球が外野の頭を越えたり、間を抜ければ、どんな選手でもラクに二塁までたどり着く。

 だが、ときには普通の感覚だと、シングルヒットという場面で、気がついたら「もう二塁まで来ている!?」というシーンもある。そんな驚愕の二塁打を披露したパ・リーグのスピードスターたちは誰なのか? 開幕から4月30日までの二塁打時到達タイムのトップ5を集計し、紹介していこう。

 関東第一高校時代から群を抜いていたオコエ瑠偉(楽天)。身体能力はプロ入り後もトップクラスに位置する。二塁到達タイム7秒75はリーグ5位となるタイムだ。

 ここで二塁打のタイムの評価基準について述べておくと、一般的に「7秒台であれば十分速い」と考えていい。足に磨きをかけたスペシャリストだけが到達できる“聖域”とまでいっていいだろう。

 オコエのタイムと順位は、単純に「足が速い」と評価できる一方、他にも独自の個性がみえてくる。まず、右打者であるということ。右打席は左打席に比べて走る距離がわずかながら長くなる。タイム争いにおいては明らかに不利だ。

 そして、皮肉にも技術の“未熟さ”から身体能力の高さが感じとれるということ。7秒75を出したときの走塁は、打ってから打球の行方を追っていてスタートは遅かった。さらに、一塁を回って二塁へ向かう走路もかなり大きく膨らんでいた。だが、それでもリーグ5位である。長い脚で跳躍するように走るバネの強さに、底知れぬ可能性を感じずにはいられない。今後、無駄のない走塁技術を身に着けたら、もっと良いタイムが出るだろう。

 ファウル打ちの名人にして、2015年盗塁王でもある中島卓也(日本ハム)は、職人気質の選手。二塁打における走りも無駄がなく、涼しい顔をして二塁へ到達する。そのタイムは7秒66で4位に入った。打った瞬間から全力で走り出し、一塁を回る。左中間の真ん中付近に落ちた打球をセンターが追いつくのに精一杯になったのを見逃さず、一気に二塁へ向かう。

 このときの走路が「技あり」のポイントだ。中島選手は、一塁と二塁のベースを結んだラインにかなり近いところを走っていた。一塁ベース付近で小回りをきかせたターンをしたのだろう。より最短距離に近い走りをすれば、無駄はなくなる。二塁打の走塁ひとつをとっても、中島には確固たる技術がある。それを感じさせる好タイムだ。

7秒57で第3位に入ったのが、オリックスの新星である佐野

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