「バンビーノの呪い」ビル・バックナー氏を振り返る 1986年WSで“サヨナラトンネル”

レッドソックスは2004年にワールド・チャンピオンに輝き「バンビーノの呪い」が解ける

 ボストン・レッドソックスは、1919年にエース兼中軸打者だったベーブ・ルースをヤンキースにトレードしてから、たびたびリーグ優勝をしてワールド・シリーズにも出場したにも関わらず、ワールド・チャンピオンになることができなかった。ファンはこれを「バンビーノ(ルースの愛称)の呪い」と呼んだが、バックナーのトンネルは、その代表的な例の一つとされた。

 バックナーは一塁手としてはそれほど優秀ではなく、ゴールドグラブ賞は一度も受賞していない。その後もエンゼルス、ロイヤルズ、またレッドソックスと移籍を繰り返し、40歳になる1990年まで現役を続けた。

通算成績は
2517試合9397打数2715安打174本塁打1208打点183盗塁 打率.289
首位打者1回、オールスター選出1回
通算2715安打は歴代66位だ。

 殿堂入りは難しいにしても堂々たる成績を残したバックナーだったが、ワールド・シリーズのトンネルのインパクトが大きすぎて引退後も「バンビーノの呪い」とのセットで語られることが多かったのは気の毒だった。

2004年、レッドソックスは「バンビーノの呪い」から解けてワールド・チャンピオンになった。2008年、フェンウェイパークでのレッドソックスの開幕戦で、バックナーはレッドソックスのユニフォームで始球式を行い、レッドソックスファンの温かい拍手を浴びて涙ぐんだ。彼の呪縛もこれで解けたのだ。

(広尾晃 / Koh Hiroo)

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