球界最年長投手が滲ませた意地 中日山井、6回途中2失点も納得せず「全然作ってない」

中日・山井大介【写真:福谷佑介】
中日・山井大介【写真:福谷佑介】

西武打線を相手に2失点の好投も、援護なく白星には結びつかず

■西武 2-1 中日(交流戦・20日・ナゴヤドーム)

 20日、本拠地ナゴヤドームで行われた西武戦。2連敗中の中日で先発マウンドに上がったのが、41歳のベテラン山井大介投手だった。41歳41日。巨人の上原浩治投手が5月に現役を引退したことで、球界最年長投手となった右腕だ。

 この日、山井は粘りのピッチングを展開した。相手は12球団最強と言われる西武の“山賊打線”だった。2回、その怖さを味わった。先頭の山川にフルカウントから甘く入ったカーブを左翼スタンドに運ばれた。先制ソロ。さらに森、中村の連打でピンチを招くと、木村の遊ゴロの間に2点目を失った。

 それでも、山井が失った点はこの2点だけ。3回以降は走者を背負いながらも、踏ん張って追加点を与えなかった。ただ、味方の援護がない。5回まで反撃は併殺打の間に得た1点のみ。山井は6回、1死から連打でピンチを招いたところで降板。白星の権利すらも掴めなかった。

 ただ、マウンドを降りてベンチへと下がる際、本拠地ナゴヤドームのスタンドからは大きな拍手が送られた。それが、この日の山井の奮闘ぶりを物語っていた。相手は12球団最強の西武打線。前々日には16失点を喫し、前日も勝負ところで痛打を浴びており、ファンもその怖さは十分に味わっていた。粘り強く投げ、その西武打線を2点に抑えた山井を称えるのは不思議ではなかった。

 与田剛監督も試合後に「よく投げたよ。2点取られた後、リズムを引き寄せようというピッチングが見られた」と評価した投球。だが、当の山井本人の捉え方は少々違っていた。

 試合後、山井は「ゲームは作ったのでは」とする報道陣の質問をすぐさま否定した。「全然作っていないよ。6回投げていないし。次は6回、7回と長いイニングを投げたい」。先発を任された以上は、最低でも6回、そして7回、8回と投げることが役割。その言葉には、41歳、球界最年長投手となっても失うことのない“ピッチャーとしての意地”が滲んだ。

 チーム事情もある。苦戦が続く交流戦。中継ぎ陣にも負荷がかかっている。それだけに、できるだけ長いイニングを投げてリリーフ陣を休ませたかった。「中継ぎを6回までは出したくなかった」。それだけに、6回途中降板となったことを悔やんだ。

 5月頭に出場選手登録を抹消され、その間に球界最年長投手に“繰り上がり”、交流戦で1軍に復帰した。6日のソフトバンク戦は5回7安打3失点、続く13日のオリックス戦は7回途中2安打1失点、そしてこの日の6回途中7安打2失点と好投しながらも、白星に恵まれず。それでも、ベテランは“先発として矜持”を忘れることはない。

(福谷佑介 / Yusuke Fukutani)

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