苦しむ菊池雄星、飛躍へ必要な「ソフトな球」 元燕助っ人ハドラー氏が見る現状

ロイヤルズのテレビ中継の解説者として活躍しているレックス・ハドラー氏【写真:木崎英夫】
ロイヤルズのテレビ中継の解説者として活躍しているレックス・ハドラー氏【写真:木崎英夫】

「なぜ、監督が忍耐強くしているのか……。ユウセイには開花できる素質があるからだ」

 ヤクルトに在籍したのは僅かに1年のハドラー氏だが、時の野村監督の厳しい要求にも結果を出しその年の日本一に貢献。異国でプレーすることの難しさを知る彼の言葉に感じ入るものがある。では今後に向け、菊池が飛躍を果たすにはどうすればいいのか。ありがちな応援歌を奏でることなく、ハドラー氏は打者目線からの手堅い説明を加えた。

「メジャーでは“ソフト”な球がより有効だと思う。ユウセイと同じ左腕で速球は93マイル(約150キロ)くらいだったけど、スライダーとチェンジアップを駆使して並みいる強打者を撫で斬りにしたトム・グラビンが好例だ。打者のタイミングを狂わせるチェンジがあったから彼は米野球の殿堂入り投手にまで昇りつめた。あと、制球も大切な要素。球のスピードじゃないんだ。野球はそれを競うスポーツじゃないから」

 ソフト=落ちる球。奇しくも菊池は18日の試合で今季最も多い6球のチェンジアップを投じている。相手の腰を砕く切れのいいものもあった。「今日、唯一、次につながるところかなと思う」と好感触を得たその球に、今後の浮沈を握るポイントがあると言っても穿ち過ぎではあるまい。

 ハドラー氏は最後、語気を強めて言った。

「なぜ、監督が忍耐強くしているのか……。ユウセイには開花できる素質があるからだ」

 左腕は23日(同24日)のオリオールズ戦で今季4勝目を目指す。

(木崎英夫 / Hideo Kizaki)

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