ロッテ荻野、初の規定打席到達&首位打者なるか 盗塁成功率も歴代2位に?

ロッテ・荻野貴司【写真:荒川祐史】
ロッテ・荻野貴司【写真:荒川祐史】

ケガに泣かされてきたスピードスター、今季は打率3割を大きく超える

 ロッテの荻野貴司が好調をキープしている。打率は.335と3割を大きく超え、首位打者争いに絡んでいる。意外なことに、荻野はプロ10年目の今年まで、一度も規定打席に達したことがない。

 荻野は奈良県出身。トヨタ自動車を経て2009年ドラフト1位でロッテに。即戦力として期待され、西村徳文監督(現オリックス監督)は、開幕戦から「2番・中堅」で起用。いきなり5試合連続安打、1番・西岡剛とのコンビで鮮烈なデビュー。盗塁も量産した。

 この年は2009年WBCで日本代表を苦しめた韓国代表・金泰均がロッテに入団。マリンスタジアムでは韓国フードが売られるなど盛り上がったが、駆け付けたファンは、もう一人の新戦力、荻野の俊足好打に大注目した。

 しかし荻野はこの年、5月21日のヤクルトとの交流戦でスライディングした際に右膝半月板を損傷、手術を受けてシーズンが終わってしまった。翌2011年には遊撃手にコンバートされたが、またもや右膝を手術。2012年には外野手に戻るも、以後も故障が相次いだ。また競争も激しかった。

 ロッテはサブロー、岡田幸文、角中勝也、清田育宏ら一癖も二癖もある外野手がそろっている。そんな中で荻野がレギュラーの座をつかむのは並大抵ではなかった。出場試合数は2017年の103試合、安打数は同年の94安打が最多だった。

 今季も荻野は、開幕戦は代走での出場。初スタメンは4月3日の西武戦だったが、以後はコンスタントに安打が出て、リードオフマンに定着した。

 荻野貴司で特筆すべきは、盗塁成功率の高さだ。

○NPB200盗塁以上の盗塁成功率5傑 所属があるのは現役

1 西川遥輝(日) .869/239盗塁36盗塁死
2 鈴木尚広 .8290/228盗塁47盗塁死
3 広瀬叔功 .8289/596盗塁123盗塁死
4 松井稼頭央 .819/363盗塁80盗塁死
5 赤星憲広 .812/381盗塁88盗塁死
※荻野貴司(ロ) .864/190盗塁30盗塁死

 セイバーメトリクスでは、盗塁は失敗した時のダメージが大きいため、リスクの高い戦術だとされる。そのために、近年は成功率が低い選手の盗塁が減り、高い選手のみが盗塁をする傾向にあるが、荻野は200盗塁に達した時点で、日本ハムの西川に次いでNPB歴代2位になる可能性が高い(ちなみにイチローは199盗塁33盗塁死の成功率.858)。

 荻野貴司は今季34歳になるが、肩も全く衰えていない。外野守備では12球団トップタイの5補殺も記録している。遅咲きのリードオフマン、荻野貴司は今季開花するだろうか。

(広尾晃 / Koh Hiroo)

RECOMMEND

KEYWORD

CATEGORY