今年の楽天、なぜ強い? 専門家が分析、この先も「簡単に落ちない」理由とは?

この先も「落ちない」と分析する理由は…「全てがいい風に循環していく」

 救援陣の安定感も光る。

「救援の人材は元々豊富。今年はブセニッツが入って、ハーマンもいて、森原がいる。この3人はとてもつない球を投げますからね。そこに左の高梨、ベテランの青山、久保というところが頑張っている。あとは、松井の状態がいい。完全復活の兆しが見えるので。唯一の気がかりはちょっと登板過多かなと。ただ、外国人投手は宋も加えた3人をうまく1人を休ませながら2人使って、ということができているので、いい状態で回せています。この間までハーマンが休んでいましたが、その間に残りの2人が頑張っていた。ハーマンが復帰したら宋を抹消しましたが、ブセニッツも同じようなリフレッシュ休暇を与えることができます。勝ちパターンのセットアッパーというのは大事な部分ですから。1人がこけた、いなくなった、困った、という形ではない。その3人をうまく回せばいいわけですから。そういう意味でもうまい流れになってますよね」

 さらに、則本が復帰すれば、救援陣の負担は確実に減ることになる。これもプラスに作用すると、野口氏は見ている。楽天にとって、あらゆることがうまく巡っているという。

「うまく回しているうちに則本が帰ってくれば、最初は無理させられないかもしれませんが、フル回転できるようになれば、則本の日は(救援陣を)使っても松井くらい、という日ができます。岸が万全の状態なら、岸の日も救援陣は休めます。そうなると、週に1回どころか、1カードに1回そういう日が作れるようになります。流れとしては素晴らしいですね。そうやって安定した形が見えてくれば、他の先発陣も楽になって頑張りだす、いい成績を残しだす、と全てがいい風に循環していく気がしてなりません。なので、楽天はそう簡単には落ちない感じがします。それこそ、打線が全員揃って打てなくなるとか、主力が3人くらい怪我するとか、そういうことがない限り」

 もちろん、この流れを作り出しているのも首脳陣の手腕だ。引退後に2軍で経験を積み、正式な指揮官としてチームを率いる平石監督の存在は大きい。野口氏は言う。

「それもこれもみんな、平石監督の手腕なのかなと考えられますよね。新加入の浅村、ブラッシュはよく頑張ってますが、それだけではない。表現は正しいか分かりませんが、選手を踊らせるのがうまいというか。投手陣のメンバーは、ブセニッツはいますが、去年とほとんど変わりません。それで去年と今年のこの違いですから。去年も途中から平石監督が監督代行として率いましたが、半年の間にしっかりと1軍にいた選手の状態、戦力を把握できたのでしょう。しかも、2軍監督だった人間が1軍の監督になったら、それは2軍でずっとやってた選手たちはチャンスと思う瞬間ですよね。特に、平石監督の場合は2軍が長かったので、目にかけていた選手もいっぱいいます。そういう選手が頑張ってきていますよね」

 2017年はリーグ3位に入り、クライマックスシリーズのファイナルステージまで進んだが、ソフトバンクに敗れた。そして、昨季は最下位。2013年以来のリーグ制覇、そして、日本一へ――。楽天が後半戦もパ・リーグの「台風の目」となりそうだ。

(Full-Count編集部)

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