久慈次郎やクレメンテ… 衝撃的だった日米の現役野球選手の急逝

2016年に急逝したホセ・フェルナンデス氏【写真:Getty Images】
2016年に急逝したホセ・フェルナンデス氏【写真:Getty Images】

エンゼルス・スカッグスの突然死は球界に衝撃を与えた

 大谷翔平の同僚で、今季チーム最多勝だった27歳のタイラー・スカッグスの急死は、アメリカのみならず日本の野球界にも衝撃を与えた。

 頑健なアスリートの死は、ファンにも大きなショックを与える。数的には決して多くないが、野球史を振り返ると、日米問わず、過去にも現役選手の死が大きなニュースとなっている。

 MLBでは1920年8月17日、インディアンスの遊撃手レイ・チャプマンがヤンキース戦でカール・メイズから頭部に死球を受けて翌日に死亡した。享年29歳だった。この事件がきっかけとなって、打者はヘルメットを着用するようになった。

 1972年12月31日、このシーズンに3000本安打を達成したパイレーツの大打者、ロベルト・クレメンテが、飛行機事故で死亡した。38歳だった。ニカラグア大地震の支援のため救援物資を積み込んだ飛行機に乗っていた。MLBは特例として、翌1973年にクレメンテを野球殿堂入りさせている。MLBでは飛行機事故によって死亡する選手が散見される。ヤンキースのスター捕手だったサーマン・マンソンは、1979年8月2日に自家用飛行機で墜落死、32歳。同じくヤンキースのコリー・ライドルも2006年10月11日、自家用飛行機で事故死している。34歳だった。

 エンゼルスでは1978年9月23日、外野手のライマン・ボストックが銃撃され死亡した。27歳。2009年4月9日には右腕投手のニック・エイデンハートが交通事故で死亡。22歳の若さだった。

 記憶に新しいところでは、マーリンズのエースでイチローのチームメイトでもあったホセ・フェルナンデスが2016年9月25日、マイアミでの水難事故で24歳で死亡。2017年1月22日にはロイヤルズの投手、ヨルダノ・ベンチュラが自動車事故で死亡している。25歳だった。

 日本での現役選手の死亡と言えば、社会人野球の偉大な捕手だった久慈次郎の悲劇をあげなければならない。1939年8月15日、札幌での試合で打席に立っていて捕手の送球を頭部に受けて死亡。プロ野球草創期の大エース、沢村栄治の球を受けた名捕手の突然の死に球界は悲嘆にくれた。40歳だった。社会人野球では、都市対抗野球大会で活躍した選手に久慈次郎にちなんだ「久慈賞」を授与している。

 戦後の混乱期である1947年6月23日、巨人の外野手、黒沢俊夫が腸チフスで死亡。巨人では黒沢の背番号「4」を永久欠番にしている。

 サンケイアトムズの主軸打者として活躍したルー・ジャクソンは1969年3月26日、オープン戦の最中に倒れて2か月後に死亡した。33歳。ファイトあふれる外国人選手として人気があっただけにショックを与えた。

 1985年1月4日、南海の内野手、久保寺雄二が26歳の若さで急性心不全で死亡。すでに770試合に出場していたホープだった。葬儀では高校時代から二遊間コンビを組んだ近鉄の大石大二郎が泣き崩れ、人々の涙を誘った。

 2000年10月13日、ダイエーの救援投手、藤井将雄が肺がんで死亡、31歳。葬儀では親しかった先輩投手の工藤公康(現ソフトバンク監督)が棺を担いだ。

 今季は前年がんの手術をした阪神の原口文仁が見事に復活を果たした。医療の進歩もあり、選手の健康管理は進化している。しかし、それでもこうした悲劇を完全に防ぐことはできないのだ。スカッグスの冥福を祈りたい。

(広尾晃 / Koh Hiroo)

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