ベンチ外から「精神的支柱」へ ドラフト候補に押し上げた元プロ投手の助言

武田久氏に見守られながら投球練習を行う日本通運・相馬和磨【写真:中谷純一】
武田久氏に見守られながら投球練習を行う日本通運・相馬和磨【写真:中谷純一】

いつどんな時でも投げられるようにスタンバイ 武田久氏の教えを胸に

「マウンドでバッターに向かって投げる前に『どのコースにどういう球を投げるのか、頭の中で整理してから投げろ』というアドバイスをもらいました。それまでは、とりあえず『えいっ』って投げていたのですが、それを実行するようにしてから、徐々に自分の投球が変わり、思い通りに投げられるようになりました」

 それでも、公式戦で投げられる機会は限られている。いつやってくるかわからない登板に備え、準備をしてチャンスを待った。

「去年の岡山大会のJR四国戦が乱打戦になり、ピッチャーが足りなくなって、本当は予定がなかったのですが登板の機会が回ってきました。そこで、3者連続三振を取れました。あの時は、思い通りに投げられた。そこから自分の道が開けたと思います」

 それから、与えられた登板機会で確実に結果を残し、藪宏明監督には「相馬の出来でチームの勝敗は左右する」と言われる存在になった。今年の都市対抗南関東予選準決勝のJFE東日本戦では2失点を喫したが、調子を崩したときにいつも行っている「遠投」で修正。第3代表決定戦では5回からリリーフ登板し、無失点に抑える好投を見せた。チームを5年連続の本戦へと導いた「遠投」での調整方法も、武田に教えてもらったものだ。

「JFE東日本戦では、球離れが早くなっていると言われました。第3代表決定うまく修正することができました」

 社会人2年目で迎えた昨年のドラフトは、日本ハムから3位指名を受けた生田目翼投手とともに指名を待ったが、名前を呼ばれることはなかった。

「去年は後半調子が落ちてしまったので『ないな』とは思っていました。心の準備はできていたけれど、やっぱり悔しかった。年齢もありますし、今年がラストチャンスのつもりでやっています。でも今は、都市対抗のことだけしか考えていません。ドラフトのことは、頭の片隅にしまっておきます」

 2年前は眺めていることしかできなかった大舞台で、急成長を遂げた左腕のチームを勝利に導くピッチングに期待したい。

【動画】ドラフト候補左腕・相馬のブルペン投球 近くで熱視線を送る元日本ハムの武田久投手兼コーチ

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