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大船渡・佐々木、投げずに敗退の是非 専門家は「監督が決めたなら、それが正解」

第101回全国高等学校野球選手権大会は25日に各地で地方大会が行われ、岩手大会では佐々木朗希投手擁する大船渡が決勝で花巻東に2-12で大敗した。佐々木はベンチスタートのまま、マウンドに上がることなく敗れ、35年ぶり2度目の優勝はならず。“令和の怪物”を甲子園で見ることはできなくなったが、未来ある逸材の潜在能力は計り知れないだけに、国保陽平監督の判断を支持する声は多い。

「無理して投げさせて故障したら、というリスクのほうがやっぱり大きい」

「1歩進んだ感じはしますね。高校生の体を守るという意味では。だからなおさら、勝ち抜くためにピッチャーは1人ではなくて2枚、3枚といなければいけないということになってきます。難しいことですけどね。私の母校の習志野(千葉)を例に出すと、24日の準決勝で飯塚君が完投して、25日の決勝戦では投げませんでした。高校野球界全体として、そういう流れになっていくのはいいことなのかなとは思います。習志野は他の投手が頑張って勝ったわけなので。非常に難しいことだとは思いますが、今後はそういう野球が必要になってきます」

 野口氏はこう語る。一方で、当然ながら選手の数は学校によって違う。球数制限の議論では、有力選手が多く集まる強豪私立校が有利という意見が必ず出てくる。実際に、今年の大船渡のようなチームが勝ち進んでいくことがいかに難しいのかが改めて分かる結果となった。それだけに、エースが無理なく投げられるような大会スケジュールを組むというのも解決策の一つだと野口氏は指摘する。

「テストなどがあるので難しいかもしれませんが、絶対に連戦にならないような日程を組むというの一つの選択肢にはなります。最低でも1日はあけて、できれば2日あける、という日程が組めるようになれば、今回の大船渡みたいな学校でも、スーパーエースが全試合に投げられるかもしれない。出場校が多い地区もあるわけなので、難しいとは思いますが。(甲子園で)見たかったというのはありますが、準決勝と決勝が2日連続になることに問題があるのかもしれません。早く大会を始めて日程に余裕をもたせれば、少しは解消するのではないでしょうか。いずれにしても、今回、佐々木君が投げなかったことで、そんな(育成年代の肩肘を守ろうという)風潮になりつつある球界に改めて一石を投じたことは確かでしょう」

 いずれにしても、佐々木が無理をしてマウンドに上がらなかったことは、野球選手としての将来を考えれば、“マイナス”になることはないと野口氏は言う。

「無理して投げさせて故障したら、というリスクのほうがやっぱり大きい。投げずに故障を回避できた、という利点の方が遥かに大きいと思います。『やってみないと分からない』と言う人もいるかもしれませんが、そういう問題ではありません。これだけピッチャーの肩・肘が消耗品だといことが言われて久しい野球界で『やってみないとわからない』ということはあり得ません。何年後かに影響が出る可能性もあるわけですから」

 周囲は騒ぎ立てるが、誰よりも佐々木の将来の活躍を願っているのは、高校で苦楽をともにしてきたチームメートたちだろう。野口氏は「一緒に戦ってきた仲間たちのためにも、この先プロで活躍する姿を見せてほしいなと思いますよね」と話す。圧倒的なポテンシャルを誇る剛腕は、次のステージで新たな伝説を残すことになるのだろうか。

(Full-Count編集部)

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