侍Jに大敗も…フィジー野球協会日本人会長は笑顔「あのときの経験がとなってくれれば」
持田貴雄会長、大嶋賢人コーチ、白川将寛前コーチと3人の日本人が関わっている
台湾・台南市で行われている「第5回 WBSC U-12ワールドカップ」。侍ジャパンU-12代表は29日、オープニングラウンド第4戦でフィジーと対戦し、30-0で勝利した。数字の上では侍ジャパンの大勝に見えるが、招待枠で初出場のフィジーが2安打を放ち、3回には1死満塁のチャンスで得点まで迫る健闘を見せた試合だった。
フィジーは、オーストラリアの隣に位置する南太平洋の小さな島国。7人制ラグビーではリオ五輪で初代王者となった強豪国だ。野球のイメージとはかけ離れた国に思えるが、今回のフィジー代表には3人の日本人スタッフが関わっている。フィジー野球・ソフトボール協会の持田貴雄会長、大嶋賢人コーチ、白川将寛前コーチだ。
「私どもはご覧の通り明らかに参加12か国中、群を抜いて技術的なレベルは低い。そこは事実として認めるんですけれども、本大会に参加する機会をいただいて、かつランキングナンバー1の日本とやらしていただけたのは大変光栄でした」
試合後にこう振り返ったのは持田会長。2007年にフィジー日本大使館に赴任すると、野球協会と関わるようになり、08から11年までフィジー代表監督を務め、2017年に会長に就任した。
「今日は当然結果は最初から予測できましたんで、自分たちのベストを尽くすことと、世界ナンバー1の国の技術、試合の取り組み方の勉強をしろと、試合前にチームに確認して試合に臨んで、満塁にもできましたし、点は取れませんでしたけれども、ヒットも2本打てました。今回初めてショートゴロもアウト取れたんですね」と大敗の中でも選手たちの成長を実感していると話した持田会長。「我々の中では各選手が持って臨んだ課題というのに、勇気を持って取り組んでいたのかなということで、満足はしていないですけど、一定程度の達成感というか、選手たちが成長しているなという実感はあります。それがあるのが非常に嬉しいですね」と笑顔を見せた。
フィジーでの野球の知名度はまだまだ低く、選手も他の国のプロリーグを目にする機会はほとんどない。持田会長は「日本の野球が非常に強いことは知ってます。でも実感としてどれぐらい強いかってことは全くわかってない。今日こうやってやらせていただいて、特に試合に出てた選手は個々に感じているとは思いますね。これを帰って家族だとか友達とかに話していく中で、あのときの経験が、みたいなことになればいいなと思います」と、今大会での経験を活かして、少しでもフィジーに野球が普及することを願っている。