88歳で死去の元近鉄右腕グレン・ミケンズ氏 NPB初の1球勝利投手として話題に

NPB通算45勝&史上初の1球勝利投手に

 珍しい記録も残した。63年8月21日の南海戦(日生)で同点の9回表1死一、三塁で登板すると、バディ・ピート内野手に対して初球を打たせて遊ゴロ併殺打に仕留めた。ピンチを断ち切ると、その裏に近鉄は1死満塁で代打・島田光二の二ゴロを南海・森下整鎮が失策。近鉄がサヨナラ勝ちし、ミケンズ氏は1球で勝利投手になった。

 1球勝利投手は今年のロッテ-楽天の開幕戦(3月29日)でロッテ・酒居知史投手が記録するなど、これまで42人が記録しているが、ミケンズ氏の記録がNPB史上初。珍しい記録として大いに話題になった。ミケンズ氏は同年8月18日の東映戦でも5球で勝利投手になっており、「6球で2勝」も話題になった。

 ミケンズ氏はこの年限りで近鉄を退団。米国に帰国した。

 MLBでの通算成績は4試合0勝1敗 防御率11.37。NPBの通算成績は169試合45勝51敗、防御率2.54。オールスター出場2回。引退後は1989年まで母校のUCLAでコーチを務めた。

 ミケンズ氏はMLB在籍時に同じUCLA出身のジャッキー・ロビンソンと仲良くなった。米南部への遠征で黒人のロビンソンが同じバスに乗れず、ホテルでの食事も共にできなかったことにショックを受けたミケンズ氏は、チャック・ドレッセン監督に疑問をぶつけた。ドレッセン監督は「今、俺たちは南部にいるからだ。これが南部のやり方なんだ」と答えた。このエピソードはジャッキー・ロビンソンを語る上で欠かせないものになっている。

(広尾晃 / Koh Hiroo)

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