「2、3か月前の自分のことを考えたら…」 燕の3年目右腕・星が無失点救援

ヤクルト・星知弥【写真:荒川祐史】
ヤクルト・星知弥【写真:荒川祐史】

2番手で登板し、3回無失点。チームは敗戦も光る好投

■中日 5-4 ヤクルト(2日・神宮)

 ヤクルトは2日、本拠での中日戦で4-5で敗れた。初勝利を目指した先発のルーキー右腕・清水昇投手が3回4失点と精彩を欠いた。同点の9回からマウンドに上がったマクガフがヒットと一塁牽制の悪送球からピンチを招き、最後は京田に勝ち越しスクイズを決められた。敗れはしたが、4回からマウンドに上がった3年目の右腕、星知弥投手が3イニングを無安打無失点(1四球)の好投を見せた。

 点差は3点のビハインド。4回表、星は今季2度目のマウンドに上がった。

「何とか後ろにつないでいこうという気持ちでした。バッターに向かっていくことだけを考えて投げていました」。3回までに3本塁打を火を噴いていた中日打線を、気迫で黙らせた。5回2死、前の打席で2ランを放ったアルモンテにはスライダー、フォークで追い込み、最後は外角低めへ148キロの直球。しっかりと制球された見事なボールで、見逃し三振に仕留めた。

 3イニングを投げ、無安打無失点。走者は四球で出した1人だけのほぼ完璧救援。味方打線も4、5回と得点し、同点に追いついた。星の好投が持ってきた“流れ”だった。

 今季は開幕ローテーションの一角として期待されたが、オープン戦で結果を残せず、その後は下半身のコンディション不良で2軍でも約3か月、登板から遠ざかっていた。「ずっと1軍の試合は見ていましたし、いろんな感情が今、出てきて……うまく言葉にできないです」と試合後、振り返った。孤独なリハビリや力になれないもどかしさ……本人にしかわからない苦悩が脳裏をかすめ、「今、投げられているということは、2、3か月前の自分のことを考えれば、幸せです」と静かに言葉に思いを込めた。

 田畑投手コーチは「完璧。コントロールも良かったし、まっすぐも角度があった。(今後の長いイニングも)考えていかないといけない」と期待感。この3イニングの好救援が、自身の活路を開いた形だ。好投もチームは敗れたため、星に笑顔はなかったが、次の登板での白星で自分自身にもチーム、ファンにも笑顔をもたらすことだろう。

(楢崎豊 / Yutaka Narasaki)

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