大谷翔平に昨季2被弾の右腕、1年後に雪辱できたワケ「より多くの情報を…」

登板翌日のランニングを終えたインディアンスのクレビンジャー【写真:木崎英夫】
登板翌日のランニングを終えたインディアンスのクレビンジャー【写真:木崎英夫】

「この夜一番の失投」は二ゴロ「あれは彼が打ち損じた」

 逆もしかりだ。長足の進歩を遂げるデータ収集機器により、打者も研究されている。昨年は大谷に対し自分が攻めやすいストライクゾーンを突く意識が強かったというクレビンジャーは今回、データに基づいた被打率の高いスポットに注意を払い「両コーナーに散らす」戦略で臨んだ。それでも手元は狂った――。

「この夜一番の失投」としたのが、二ゴロに仕留めた2打席目の初球だった。真ん中低めの96マイル(約154キロ)直球を大谷が左方向へファールしたことで命拾いした。「あれは彼が打ち損じたものだったね」と苦笑する。付言すれば、内角の直球で仕留めた3打席目の左飛は、捕手の要求と違う逆球。昨夏に被弾した2本目と同じコントロールミスだったが、事なきを得た。この日、プログレッシブ・フィールドの左中間には打者に有利となる追い風が吹いていた。

 厚みを増したデータからは、打者心理を読み解くためのヒントも得た。クレビンジャーは投手優位のボールカウント「2-2」を一例に出し、大谷の傾向を掴んでいる様子。このカウントでは投手はまだ1球遊べる余裕があり、打者は三振警戒で際どい球をカットにかかる圧力がかかる。また、このカウントに至るには最低でも4球が費やされ、打者には配球の傾向が見えてくる。両者の駆け引きがぶつかり合うカウントで、その優位を無駄にしないための大谷の“傾向”をデータから掴み取った様子。

 洗いざらしの髪に手をやりながらこの日の勝負を振り返った右腕は、一つだけ言い淀んだ――。「大谷の弱点?……。それは、これから分かっていくことだよ」。

 28歳右腕と25歳の好打者の対峙は、これから一層、味わい深いものになっていくだろう。

(木崎英夫 / Hideo Kizaki)

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