日本ハム、世界がまだ見ぬボールパークを目指して… 【パお仕事名鑑Vol.2】

日本ハムの事業統轄本部・小川太郎さん【写真:パーソル パ・リーグTV】
日本ハムの事業統轄本部・小川太郎さん【写真:パーソル パ・リーグTV】

日本ハムの事業統轄本部・小川太郎さんが目指す新たなボールパーク

 グラウンドの上で輝く選手やチームを支えているのはどんな人たちなのか。パ・リーグで働く全ての人を応援する、パシフィック・リーグオフィシャルスポンサーのパーソルグループと、パ・リーグインサイトがお届けする「パーソル パ・リーグTVお仕事名鑑」で、パ・リーグに関わるお仕事をされている方、そしてその仕事の魅力を紹介していきます。

 “新しい球場を創る”。ファンにとってはなんとも心騒ぐワードだが、そうそうチャンスは訪れない。NPBのフランチャイズ球場としては2009年の「MAZDA Zoom-Zoomスタジアム広島」、パ・リーグでは2001年の「札幌ドーム」完成から18年の時が流れている。そこに朗報がもたらされたのが昨年。日本ハムが、新しいボールパーク構想を打ち出した。その内容を見ると実に壮大でなんとも心躍るものだ。2023年の開業を目指して進むこのプロジェクトを担当するのが事業統轄本部の小川太郎さんだ。

「業務としては大きく2つあります。まず新球場の設計・施工の全体管理です。社内の関係部署と連携し、各部署が実現したい内容を新球場の設計に反映させていきます。もうひとつは新球場の大きさ約6ヘクタール以外の約26ヘクタールという周辺エリアについて、面として整備していくためのマスタープランの作成を進めています」

 社内的にはチームサイドからの要望の他、チケッティング、マーチャンダイジング、飲食サービス、球場運営、など球団内の多様な視点を取りまとめる。このプロジェクトのキモは、新球場だけで完結するわけではなく、北海道庁や北広島市など地元自治体等とも連携しながら、ボールパークエリア全体が周囲にもたらす価値を考えていくこと。このプロジェクトを貫くコンセプトワード「共同創造空間」で表現されるように、多様なステークホルダーと議論を重ねながら意見の集約・調整を担う仕事だ。

「共同創造空間というのは、プロジェクトの推進体制を表す言葉として掲げた言葉です。新球場そのものもそうですし、中長期的な周辺の街づくりにも貢献していく、起点となって推進していくためには当然我々1社だけの知見でできることではありません。国、道、市、近隣市町村、その他民間の事業者と共同でやっていく。また、どういう事業体や専門領域を持つ方とアライアンスを組んでいくのかも重要になります」

 今回のボールパーク構想は新球場の完成をもって完結するものではなく、これを核としたまちづくりにまで及ぶ。つまり球場自体が完成してもそれはプロジェクトのゴールでは決してない。実に壮大。球団主導でここまでのプロジェクトは、国内では前例が見当たらない。前例がないからおもしろいともいえるが、前例がないから難しい。

「暗中模索な部分はありますね。国内において過去の考え方では、公的な予算で施設単体を建てるのが一般的かと思います。今回は民間の球団が主体となって地域ぐるみで進めていく。スタッフと国内外のスタジアムの視察を重ねて、アトランタ・ブレーブスの本拠地サントラストパークをはじめ参考になる事例はありましたが、それがそのままこの地で成立するわけではありません。また、プロジェクトのリソースとして中途採用の人材や外部の専門家をチームに組み入れることなど、これからも多様な知見、経験が必要になります」

 事業としての前例はないが、小川さんにはその後の人生に影響を与えた、スタジアムに関する思い出がある。これが、「将来はスタジアムづくりに」という強烈な引き金になった。そのスタジアムはどこだったのか? 大学卒業後、遠回りのようで今思えば近道でもある小川さんのキャリアを探っていこう。

何気なく訪れた、2つのスタジアムでの原体験

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