万年最下位から世界一へ 「ミラクル・メッツ」から50年目 快進撃の再現なるか
初優勝から50周年、ミラクルの再現なるか…
今年6月29日に50年前の優勝を記念するセレモニーが行われた。ホッジス監督はすでに他界しており、シーバーは認知症を患っていて欠席。ライアンも出席しなかった。それでも優勝メンバー15人がシティ・フィールドに集まり、ファンを喜ばせた。
76歳のクーズマンは「野球をよく知っている、世界一のファンに覚えていてもらって光栄だ。メッツでプレーできたのは、本当に幸福だった」と、感謝の気持ちいっぱいで話していた。
さて、その最高のファンの期待に今季のメッツは応えることができるだろうか?
50年前のチームはレギュラーシーズンでのチームOPSが.662。ここ50年間のワールドシリーズ王者では、OPS.657だった1988年のドジャースに続き、2番目に低い数字だった。投手陣は強力だったが、打線は迫力を欠いていた。
今のメッツにも昨季サイ・ヤング賞のジェイソン・デグロムやノア・シンダーガードという好投手がいる。それに加えて8月18日に40号本塁打を放ってナ・リーグ新人最多記録を更新したピート・アロンソがいる。ヨエニス・セスペデスがシーズンを棒に振り、ロビンソン・カノも8月に入って戦列を離れて苦しい中、新人ながら打線の中心になっている。
チームの成績はというと、前半戦は40勝50敗と借金10で首位に13.5ゲーム差だった。だが、7月から8月にかけての16試合で15勝1敗と白星を量産。8月14日には首位まで10ゲーム差であった。
前述の通り、1969年は8月13日に首位まで10ゲーム差だったのを引っ繰り返した。似たような数字である。
ミラクル・メッツから50年という節目の年を迎えた今季。これからの頑張りを楽しみに見ていきたいと思う。
(樋口浩一 / Hirokazu Higuchi)