DeNA2年目右腕・齋藤を刺激する“昔の仲間” 巨人・若林から届いたメッセージ
1軍で失点した試合の後、田中健二朗から届いたメッセージ
もちろん失点し、気落ちしたこともある。元々「すぐ結果を求めがち」な性格。だが、中継ぎの先輩・田中健二朗から届いたLINEのメッセージに、ハッとさせられた。
「『打たれたとしても、やれることを明確にして、ちゃんと1個1個やっていけば、絶対大丈夫だから』ってメッセージをいただきました。自分は何か上手くいかなかったら『あぁダメだ』と思いがちなので、この言葉は響きましたね。次にどう繋げるかを考えれば大丈夫。そう思うようになりました」
身長176センチ、体重85キロ。決して大きな体格ではないが、マウンド上での投げっぷりの良さは誰にも負けない。「やっぱり自分は弱気になって腕が触れなくなったらダメ。やってきたことを信じて、キャッチャーミットを目掛けて思い切り投げることはすごく意識しています」と、真っ直ぐでも変化球でも懸命に腕を振り続ける。左腕王国と言われるDeNAだが、「三嶋(一輝)さんのようないい右ピッチャーがいる中で、負けずに齋藤もいるぞ、とアピールして行きたいです」と活きがいい。
社会人時代を過ごしたJX-ENEOSは横浜を拠点とする強豪チーム。齋藤は2016年と2017年の2度にわたり、DeNAと行ったクライマックスシリーズ前の練習試合に登板し、プロ入りの想いを強めた。そして、そのDeNAから2017年にドラフト4位指名を受けて入団。少なからず感じる縁に「すごくうれしかったです」と振り返る。社会人でチームメートとして一緒に勝利を目指したのが、巨人の若林だ。首位争いを演じる敵ではあるが、同じ釜の飯を食べた仲間の絆が消えることはない。
「若林とファームで対戦した時はしっかり打たれたんですけど、デビュー戦では三振に抑えられた。試合の後で連絡が来て『全然球が違ったよ』って言ってくれました。すごくうれしかったです。昔の仲間の活躍は刺激になりますね。負けないぞ、と思いながらも、うれしいです」
寝る前や遠征の移動中は、ミステリー小説などを読んでリフレッシュを図る。「面白いと評判のものを片っ端から読む感じ」と言い、東野圭吾、伊坂幸太郎作品は、ほぼ読み尽くしたほどだ。読書で気分を切り替えた後は、またマウンドに上がって思い切りよく腕を振る。1日でも長く1軍で活躍する投手になるために、目指すは「調子の波が少ない」投手だ。
「今はまだ納得できる時とダメな時の差が激しいんです。でも、木塚(敦志)1軍投手コーチにも言われるんですが、求められるのは調子が悪い時にどれだけおさえられるか、どれだけ試合を作れるか、任されたイニングをどう抑えるか。これが今後のキーになると思うので、波を減らしていきます」
「今があるのは、皆さんのサポートがあるおかげ」と感謝を忘れず、「去年、投げられなかった苦しみを知っているから、投げられる喜びを感じています」と笑顔を見せる。苦労を成長の肥やしとし、これから大きな花を咲かせてみせる。
(佐藤直子 / Naoko Sato)