【U-18W杯】侍Jは米国にどう戦う? パワフル打撃&鉄壁守備の世界王者を独自分析

台湾戦先発のラジシックは155キロ 上を行く高校NO.1アベルはもっとすごい?

 先発したラジシックは最速155キロのストレートを計測し、6回途中1失点と好投した。他にも150キロ台の投手が揃う。この2試合で先発をしていないミック・アベル投手は米国内の高校NO.1の呼び声が高い。ジャック・レゲット監督は「まだ日本戦の投手は決めていないよ」と話すにとどめたが、先発してくる可能性はある。指揮官が「非常に闘争心がある選手でコントロールもかなり優れている好投手」と絶賛する右腕。150キロ後半の速球は大きく動く。スライダーやカーブ、チェンジアップと多彩な変化球には日本打線もなかなか攻略はできないだろう。

 また、台湾戦の4回には2度、台湾ベンチから監督が出て、抗議をする場面もあった。1つは盗塁を仕掛けた際、空振りした打者が二塁送球をしようとする捕手の前に出た。しかし、守備妨害は取られなかった。バットを振ったように見えたが、「止めた」として、ボールになった。何が起こるかわからないのが国際大会。不可解な判定でも切り替えること、冷静さを保つことも重要だ。ここでアメリカベンチが冷静だったのは、三塁コーチャーだったレゲット監督は相手監督が抗議中に、ネクストバッターにいるトレンティーノに指示を出していた。その後、貴重なタイムリーが生まれている。

 簡潔に言ってしまえば、今年のU-18アメリカチームは当然、強い。ただ、日本にも勝機はある。この日、6回まで2点差で行けたのは抑えた2人の左腕投手の低めの変化球の制球が良かったから。そこへのコントロールの徹底と、先頭打者や無駄な四球を出さないことは日本も必至だ。分かっていてもやってしまうのが野球だが、走者を出しても、米国はこの日牽制死もあった。スキはあるかもしれない。

 レゲット監督は日本のスペイン戦を偵察していた。いよいよぶつかる対戦を前に「日本はよく鍛えられているチームだ。基本がしっかりしている。守備も堅いチームだ。彼らは強敵だと私は思っている」と警戒心を強めている。5連覇を目指す米国にも慢心はない。いよいよ迎える最初の山場は、堅実な野球対決となりそうだ。

(楢崎豊 / Yutaka Narasaki)

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