【林昌範の目】フォークを教えてくれた広島永川、スターのロッテ福浦…引退する選手への思い

ロッテ・福浦和也【写真:荒川祐史】
ロッテ・福浦和也【写真:荒川祐史】

広島黄金時代の礎を築いた永川、千葉出身の福浦は永遠のスーパースター

 林昌範です。シーズンも終盤となり、優勝争いも白熱する中、今季限りでユニフォームを脱ぐ選手が報じられる季節になりました。各球団で現役引退を決断した選手の方々は現役時代にお世話になったり、手強いライバルとして立ちはだかった先輩方が多いです。今回は2人の選手を取り上げさせていただきます。

 1人目は広島の永川勝浩投手です。新人で25セーブ、07年から3年連続で30セーブ以上を挙げるなど、広島の守護神として君臨しました。通算165セーブは球団記録です。永川さんは長身から投げ下ろす直球が凄かったですが、目を奪われたのはフォークの精度の高さです。私も現役時代に救援として自分の居場所をつかもうと必死だったので、先輩を介して永川さんに落差の大きいフォークの投げ方を聞きに行ったことがあります。相手球団の縁もゆかりのない年下の投手に対し、永川さんは握り方など丁寧に教えてくれました。気さくに接してくれることを想像していなかったので、感謝の気持ちで一杯になったのを覚えています。

 身体能力の高さを取り上げられることが多かったですが、年を重ねてからはスライダーやスプリットをウイニングショットにモデルチェンジするなど創意工夫を色々されていたと思います。広島の黄金時代の礎を築いたのは永川さんだと思います。

 2人目はロッテの福浦和也選手です。同じ千葉県出身の福浦さんは僕にとって永遠のスーパースターです。高校時代は投手でしたが、ドラフト7位でロッテに入団して野手に転向。2000安打を放つ偉業を達成しました。僕もドラフト7位で巨人に入団したので、福浦さんの活躍は勇気づけられましたし、発奮材料になりました。現役時代は沖縄で一緒に自主トレをさせていただいたのですが、一塁を守っていて感じる「良い投手像」、打者目線でバッテリーの配球などについて貴重な助言をいただきき、野球人生の大きな財産になりました。

 今年1月に福浦さんが今季限りでの現役引退を発表してから、ロッテの選手たちは特別な思いを胸に秘めてシーズンを戦っていると思います。9月23日の日本ハム戦(ZOZOマリン)で引退試合が行われますが、チームはCS進出の好位置につけています。福浦さんの後押しを背に受けて短期決戦で下克上を達成する可能性は十分にあると思います。(元巨人、日本ハム、DeNA投手)

文/構成 インプレッション・平尾類

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