ドラフト1位競合は得策か? 過去5年で複数球団が競合した選手の今

日本ハム・清宮幸太郎【写真:荒川祐史】
日本ハム・清宮幸太郎【写真:荒川祐史】

今年のドラフトでは佐々木、奥川、森下の競合が予想される

 2019年度の「プロ野球ドラフト会議 supported by リポビタンD」は10月17日に都内のホテルで開催される。今年のドラフトは最速163キロの大船渡・佐々木朗希投手、最速154キロで甲子園準V投手の星稜・奥川恭伸投手、大学ナンバー1投手の明大・森下暢仁投手の3人が最大の目玉とされ、この3人は競合が必至とされる。

 今後、プロ志望届を提出するか否かで状況は変わってくるものの、いずれもプロを志望すると見られている(森下は提出済)。競合覚悟で、この3人に入札するのか、はたまた競合を避けて一本釣りを狙うのか、各球団の駆け引き、戦略が問われることになる。

 その年の目玉選手で競合するのは、得策なのか。過去のドラフトで目玉と言われて競合した選手たちは、今、どれほどの成績を残しているのだろうか。過去5年のドラフトを振り返ってみてみたい。

○2018年
小園海斗(4球団→広島)
根尾昂(4球団→中日)
藤原恭大(3球団→ロッテ)

外れ1位
辰己涼介(4球団→楽天)
上茶谷大河(2球団→DeNA)

 昨年のドラフトで注目を集めたのは小園、根尾、藤原の高卒野手トリオ。ただ、ルーキーイヤーはそれぞれ研鑽の年となっている。最多の4球団が競合した小園は終盤、田中の不振もあり1軍で出場経験を掴み、そのポテンシャルの高さを証明している。高卒開幕スタメンを掴んだ藤原だが、すぐにファーム降格となり、2軍で実戦の経験を重ねている。

 小園とともに4球団が競合した根尾はまだ1軍出場なし。新人合同自主トレでの故障で出遅れ、開幕後もなかなか結果が残せなかった。シーズンも終わりが近づいてきたここに来て打撃の状態が上がってきており、1軍昇格の期待も高まっている。高卒野手が1年目から活躍することは難しく、今後の成長が期待される。外れ1位で競合した辰己、上茶谷は大卒。1年目から1軍の戦力となっている。

○2017年
清宮幸太郎(7球団→日本ハム)
中村奨成(2球団→広島)
田嶋大樹(2球団→オリックス)

外れ1位
村上宗隆(3球団→ヤクルト)
安田尚憲(3球団→ロッテ)

外れ外れ1位
馬場皐輔(2球団→阪神)

 この年の最大の注目は早実の清宮。7球団が競合し、日本ハムに加入したが、2年目となった今季までは思うような結果は残せていない。中村はまだ1軍出場なし。田嶋は1年目、開幕ローテ入りを果たして白星を積み重ねたが、故障により離脱し、今季も3勝にとどまっている。

 この年の現時点の出世頭とすれば、外れ1位で3球団が競合した村上だろう。今季は清原和博の持っていた10代の最多本塁打記録を更新し、ここまで35本塁打94打点の好成績を残している。安田、馬場はまだ1軍での実績を残せていない。

○2016年
田中正義(5球団→ソフトバンク)
柳裕也(2球団→中日)

外れ1位
佐々木千隼(5球団→ロッテ)

 この年は競合が少ないドラフトだった。最大の注目は田中正義。5球団が競合しソフトバンクに入団したが、入団後の3年間は故障が相次ぎ、1軍登板11試合にとどまっている。2球団が競合した柳は今季初の2桁勝利をマークし、中日のローテの柱に成長した。

 一方で史上初となる外れ1位で5球団が競合した佐々木は2年目に右肘の手術を受け、ここまで21試合登板で6勝にとどまっている。この年のドラフトで言えば、オリックスの山岡、西武の今井、阪神の大山などがチームの主力となっている。

○2015年
高橋純平(3球団→ソフトバンク)
平沢大河(2球団→ロッテ)
高山俊(2球団→阪神)

外れ1位
小笠原慎之介(2球団→中日)

 2015年で最も競合したのは高橋純平。3球団が競合して、ソフトバンクが当たりクジを引き当てた。3年間は苦戦を強いられてきたが、4年目の今季、ついに開花。リリーフとして40試合超に登板し、勝ちパターンを担うように。優勝を争うソフトバンクの戦力となっている。

 2球団が競合した高山は1年目に新人王に輝いたが、2年目以降、伸び悩みを感じさせている。平沢もレギュラーを奪うところまでには至っておらず、小笠原も故障に悩まされていた。この年は単独指名だったDeNA今永、オリックス吉田正らが、世代の代表格として活躍している。

○2014年
有原航平(4球団→日本ハム)
安楽智大(2球団→楽天)

外れ1位
山崎康晃(2球団→DeNA)

 2014年は有原航平に4球団が競合し、日本ハムへと入団した。有原は1年目から8勝を挙げて新人王を獲得。2016、2017年と2年連続で2桁勝利をマークし、今季もここまで14勝。初の最多勝のタイトルに前進している。一方で2球団が競合した安楽は苦戦している。

 外れ1位で2球団が競合した山崎は球界を代表するクローザーへと成長した。この年のドラフトでは単独指名だったロッテ中村奨、巨人岡本もチームの中心選手として活躍している。

 ここ5年の傾向を見ると、多くの注目を集めて競合した選手でも、活躍できる可能性は決して高くない。これがドラフトの妙でもあるだろう。果たして、今年のドラフトはどの選手に、どれだけの球団が競合し、どこが単独指名を狙うだろうか。

(Full-Count編集部)

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