菊池雄星、7勝目ならずも掴んだ新勝負球への手応え「多少できたかなと」

パイレーツ戦に先発したマリナーズ・菊池雄星【写真:Getty Images】
パイレーツ戦に先発したマリナーズ・菊池雄星【写真:Getty Images】

今季中盤から本格的に投げ出したチェンジアップは試行錯誤していた

■マリナーズ 6-5 パイレーツ(日本時間20日・ピッツバーグ)

 マリナーズの菊池雄星投手は19日(日本時間20日)、今季7勝目をかけて敵地ピッツバーグでパイレーツとの交流戦に登板。初回を3人で終えたが、味方打線に4点の援護をもらった直後の2回に、一挙4点を奪われ4回限りで降板。8安打4失点1三振の内容で勝敗は付かなかった。

 メジャー初完封を飾った8月18日のブルージェイズ戦以来となる3者凡退の滑り出しも、次のマウンドで暗転。先頭の4番モラン、5番ディアズに連続二塁打を許し1点を失うと、1死後には7番エルモラに左中間、2死二塁から9番の相手先発マスグローブに右中間に運ばれ、この回4本目の二塁打で1点差に詰め寄られた。そして、1番ニューマンに適時右前打を許して、一気呵成の攻撃を受けあえなく同点とされた。

 気持ちの揺らぎが歯車を微妙に狂わせた。

「2イニング目はもったいなかったなと思います。4点取ってもらった後で、早くアウトを取りたいというところでちょっと球が真ん中に集まったかなと思います」

 1か月前に初完封を演じた際、高めの直球を効果的に使い、今後への1つの“鍵”と実感した菊池だったが、この日は巧く操ることができなかった。

「しっかり高めのゾーンのギリギリで勝負できれば差し込めますけど。やはり、(ボール)1個2個下がってしまうとちょうど打ちやすいボールになってしまう。そこは、課題の1つかなとは思いますけど」

 軸球を有効に使いきれなかった一方で、4回2死満塁の大ピンチはスライダーとチェンジアップを駆使する大胆な投球で凌ぎ切った。

 対峙した6人の打者相手に投じた20球のうち直球は1球のみ。今季中盤から本格的に投げ出したチェンジアップは、コーチ陣ほか、同僚投手らにもアドバイスをもらい試行錯誤を続けたが、リリース時に人差し指で押し込める握りを変えることはなかった。それがこの日の登板で確かな手応えへと繋がった。

「状況に応じてカウントを取る時と、少し落としたい時とっていうのは、多少、今日はできたかなという部分は出てきましたけどね」

 課題に遭遇しては乗り越え、また次の課題にぶち当たる――。首脳陣が「学びの1年」と位置付けた菊池のルーキーイヤーも残りはあと「1」。

 終始強張った表情で話した囲みの最後を、菊池はこう結んだ。

「最後の試合をどう終わるかというのは、すごく気持ち的にも大事になってくると思う。強い相手ですけどね、いい試合したいなと思います」

 予定される25日(同26日)は強力打線を擁するアストロズ戦。7日の登板で5回1失点と好投した相手に、左腕は学び得た投球で起伏の激しかったシーズンを締めくくる。

(木崎英夫 / Hideo Kizaki)

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