ロッテ福浦の幻に終わった1打席 親友・松井稼と誰も知らないセレモニーの真実

西武との2軍最終戦で志願の出場も雨天中止、幻の1打席も室内練習場ではサプライズが…

 福浦が2000本安打を放った4日後の9月26日に松井は正式に引退を発表し、翌27日に引退会見が開かれライオンズの2軍監督に就任した。そして一年後、福浦もまたバットを置く日が近づいている。西武第二球場でイースタン・リーグのライオンズ対マリーンズ3連戦が組まれた9月中旬。2人は久しぶりに食事を共にした。

「あしたは打席に立つよ。稼頭央くんの前で最後に打席に立つよ」

今シーズン、2軍でも打席に立つ機会は少なかった福浦だが松井2軍監督率いるライオンズとの最終戦では志願の出場を願い出ていた。残念ながら最終戦は雨天中止。この時期の2軍戦は振替試合が行われないため幻の打席となってしまった。

「しまったなあ。一日早く打席に入ればよかった。天気予報だと回復傾向だったのだけどなあ」

 雨天中止の連絡に福浦はそう言って悔やんだ。気持ちを切り替えライオンズの室内練習場で汗を流していた時だった。松井2軍監督が近づいてきた。手には大きな花束があった。本当は試合後に渡す予定だったサプライズの花束だった。

「福ちゃんお疲れさん」

「稼頭央くんありがとう」

 パ・リーグを引っ張ってきた2人は最高の笑みを見せ、握手を交わした。9月23日の北海道日本ハム戦(ZOZOマリンスタジアム)。一つの時代が幕を閉じる。そしてまた新しい時代が始まる。松井2軍監督が、そして福浦2軍打撃コーチが熱意を込めて新しい時代のスターを育てる。

(マリーンズ球団広報 梶原紀章)

(記事提供:パ・リーグ インサイト

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