「腕はぶらぶら状態」―ナ軍の夢つないだシャーザー、投打で見せた勝利への執念

地区シリーズ第4戦に先発したナショナルズのマックス・シャーザー【写真:Getty Images】
地区シリーズ第4戦に先発したナショナルズのマックス・シャーザー【写真:Getty Images】

崖っぷちの第4戦で快投したサイ・ヤング賞右腕「自分の投球をやり遂げようと集中した」

■ナショナルズ 6-1 ドジャース(地区シリーズ・日本時間8日・ワシントン)

 7日(日本時間8日)に行われたドジャースとの地区シリーズ第4戦に先発したナショナルズのマックス・シャーザー投手は、7回を渾身の109球で1失点に抑え、シリーズタイに持ち込むチームの2勝目を牽引。2005年にカナダのモントリオールから現在のワシントンDCに移転後、地区優勝で進出した4度のプレーオフですべて敗れているだけに、地元ファンの夢を繋げる勝利となった。

 試合後の会見で、3度のサイ・ヤング賞を誇るメジャー屈指の右腕シャーザーは限界まで投げきったことを明かした。

「今、腕はぶらぶら状態。(第5戦の)登板は現時点でイメージできないかな……(笑)」

 4日(同5日)の第2戦では2点リードの8回に救援登板し、3者連続三振で勝利への流れを作った。そして、負ければポストシーズン敗退が決まるこの日の戦いで初先発。1回に3番ターナーに先制の一発を浴びたが、失点はこの1点のみ。100球を超えていた7回2死満塁のピンチで体力は尽き果てようとしていたが、歩み寄ったメンハート投手コーチに続投を志願した。

 修羅場を切り抜けられたのも、勝利への執念だった。

「疲労で腕が下がっていたのが分かったが、自分の投球をなんとかやり遂げようということに集中した」

 4-10で敗れた前日6日(同7日)の第3戦の試合中、マルティネス監督に「救援も代打も代走でもいつでも出られる」と申し出たシャーザー。一夜明けたこの日の試合では、初打席に立った4回2死一塁の場面で前田と対峙。宝刀スライダーで中飛に打ち取った前田は「(気迫を)特に意識しないです。ピッチャーなんで。やっぱり普通のバッターの方がいいバッターなんで」と冷静に振り返った。だが、シャーザーは次の打席では3番手左腕ウリアスの156キロ速球に食い下がるなど、8球を投げさせた。その闘志の強さは確かに見て取れた。

 5試合制の地区シリーズについて「シーズン中の戦いでは絶対に置き換えられないものがある。張り詰める緊張感が自分の持ち味を発揮させてくれる」と言い放つ。背水の陣で臨んだ戦いに、全身全霊の投球で勝利を手繰り寄せた右腕がチームに弾みをつけたのは確かだ。

 9日(同10日)にドジャースタジアムで行われる第5戦は、ナショナルズはストラスバーク、ドジャースはビューラーの剛球右腕が先発する。雌雄を決する戦いは見逃せない。

(木崎英夫 / Hideo Kizaki)

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