田中将大の勝負強さをAロッドら大御所トリオ絶賛「ビースト」

敵地でのリーグ優勝決定シリーズ初戦に先発登板したヤンキース・田中将大【写真:Getty Images】
敵地でのリーグ優勝決定シリーズ初戦に先発登板したヤンキース・田中将大【写真:Getty Images】

田中はアストロズとのリーグ優勝決定シリーズ初戦で6回1安打無失点、6回18人斬りした

■ヤンキース 7-0 アストロズ(優勝決定シリーズ・日本時間13日・ヒューストン)

 ヤンキースの田中将大投手は12日(日本時間13日)、敵地で行われているアストロズとのア・リーグ優勝決定シリーズ第1戦に先発し、6回1安打無失点4奪三振1四球と快投。ポストシーズン(PS)通算5勝目を挙げた。チームは7-0に貢献した日本人右腕を、メジャー屈指の強打者トリオも大絶賛している。

 ア・リーグ地区シリーズの運命の初戦でマウンドに立った田中。圧倒的なピッチングで、強打者揃いのアストロズを沈黙させた。6回1安打無失点の文句なしのピッチングに、この試合を中継したテレビ局「FOXスポーツ」で解説を務めた3人の賢者たちも試合後、脱帽するしかなかった。

「試合前にも話題になりましたが、フランク、あなたはマサヒロ・タナカを先発させる決断に対して、心配ないと話していました。そして、輝ける結末になりましたね」

 メジャー通算521本塁打で米国野球殿堂入りを果たしているフランク・トーマス元内野手は試合前から重要な初戦の田中登板を推していただけに、この結果に上機嫌だった。

「今夜、彼は素晴らしかった。今日の試合で唯一悪かったのは、アストロズがさっぱりだったこと。彼らがここまでさっぱりだったことは見たことがありません。このスタジアムで。ヤンキースはどう猛でした。そして、自分たちの仕事をやり通しました」

 敵地のミニッツメード・パークで強打のアストロズ打線に攻略の糸口すら見せなかった田中とヤンキースの強さをトーマス氏は絶賛した。

 そして、現役時代に田中と共闘したヤンキースOBでメジャー通算696本塁打のアレックス・ロドリゲス氏は「タナカは6回を投げて、68球です。打者はミニマムの18人です。これは驚異的です。ヤンキースはこのポストシーズン4勝0敗です。総得点数は30対7です。これは無敵ということです」とまくし立てた。

 打者18人を68球で仕留めた田中の凄まじい効率の良さをAロッドは特筆していた。

 最後は銃撃事件から回復したメジャー通算541本塁打のデビッド・オルティス氏の番だった。
 
「彼は信じられないほど素晴らしかった。試合を見ていましたが、彼はボールの球速については気にしていませんでしたね。彼がより注力していたのは、制球です。ファストボールのスピードはおそらく94マイル(約151キロ)も出てなくて、91マイル(約146キロ)に近かったのではないでしょうか。しかし、ロケーション(制球)が大事です。あのスプリットはプレートの左右に落ちていく。それにスライダーが加わる。それが抑える唯一の方向でしたね」

 この日のファストボールのスピードは150キロに届かなかった。だが、宝刀スプリットとスライダーとともに制球力が絶大だったという。

「彼が投げたファストボール(速球)の数は19。たったそれだけ」と司会が声を挟むと、「彼にはそれ以上必要ありませんね」とオルティス氏は断言。160キロの剛速球の必要は絶大な投球術を誇る田中に必要なしと絶賛している。

 これでプレーオフ通算防御率は1.32。7試合以上に登板した投手ではドジャースのサンディー・コーファックス(防御率0.95)、ニューヨーク・ジャイアンツのクリスティ・マシューソン(防御率1.06)に次いで歴代3位となった。

 この衝撃の成績を司会から聞かされたAロッドはのけぞりながら「ワオ!」と絶叫。オルティスも「ビースト!(野獣だ)」と叫んだ。

 未だに絶大な人気を誇るメジャーの三賢者からも認められた田中。日本人右腕がメジャー史に残るビッグゲームピッチャーとなった。

(Full-Count編集部)

RECOMMEND

KEYWORD

CATEGORY