オリックス吉田正、西武ニール… セイバー目線で選出する9月の月間MVP【パ編】

投手では西武のニールが圧倒的な成績を残し断トツの候補に

9月月間MVP パ・リーグ投手部門

ザック・ニール(西武)
登板4 4勝0敗
防御率0.66 FIP2.68 WHIP0.91 RSAA3.78
QS率100%与四球0

 9月好調の先発投手陣のけん引役となったのは、6月20日に1軍復帰してから先発ローテションを守り、11連勝という外国人投手の連勝記録に並ぶ貢献を見せたザック・ニールです。6月20日以降の奪三振率は4.69とそれほど高いわけではないのですが、四球数はわずかに10と少なく、K/BBは4.2とかなり高い水準と言えるでしょう。そして打たせたゴロはフライの2倍という典型的なゴロピッチャーで「源田のところに打たせれば大丈夫」とバックを信頼したピッチングを繰り広げました。

 ニールの9月のセイバーメトリクスによる指標ですが、被本塁打、与四死球、奪三振のみで投手を評価するFIP、6回以上登板で自責点3以内に抑えた割合を示すQS率においてリーグ1位となりました。また9月は四球が0と抜群のコントロールも光りました。さらにRSAA(RunsSavedAboveAverage)という、平均的な投手に比べてどれだけ失点を防いだかを示す指標

(リーグ平均FIP-選手個人のFIP)×投球回数/9

 による評価においてもニールはリーグ1位の成績を残しています。優勝を決めた24日の試合でも6回自責点1と先発としての役割を果たし、2年連続優勝に貢献したザック・ニールをパ・リーグの月間MVPに推挙いたします。

鳥越規央 プロフィール
統計学者/江戸川大学客員教授
「セイバーメトリクス」(※野球等において、選手データを統計学的見地から客観的に分析し、評価や戦略を立てる際に活用する分析方法)の日本での第一人者。野球の他にも、サッカー、ゴルフなどスポーツ統計学全般の研究を行なっている。また、テレビ番組の監修などエンターテインメント業界でも活躍。JAPAN MENSAの会員。近著に『統計学が見つけた野球の真理』(講談社ブルーバックス)『世の中は奇跡であふれている』(WAVE出版)がある。

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