3年連続日本一へ好発進のソフトバンク 1勝以上に価値あるバッテリーの”攻め“

ソフトバンク・千賀滉大(左)、甲斐拓也【写真:荒川祐史】
ソフトバンク・千賀滉大(左)、甲斐拓也【写真:荒川祐史】

巨人打線の核となる坂本勇、丸に対して徹底して内角を攻めた千賀と甲斐

■ソフトバンク 7-2 巨人(日本シリーズ・19日・ヤフオクドーム)

 19日にヤフオクドームで行われた日本シリーズ第1戦。大事な初戦に勝利したのは、パ・リーグ2位からクライマックスシリーズを勝ち上がってきたソフトバンクだった。先発の千賀滉大が7回まで巨人打線を3安打1失点に封じると、打線は10安打で7得点。投打で巨人を圧倒し、第1戦はソフトバンクの貫禄勝ちだった。

 この1勝は、ただの1勝ではない。今後のシリーズの行方を左右する大きく左右する1勝になるかもしれない。千賀の投球から、そして、右腕をリードする甲斐の配球からそう感じざるを得なかった。

 試合後、千賀は「後から投げる投手のことは意識していた。もうちょっと余裕があれば、もっといろいろと出来たこともある」と語り、受けた甲斐も「7試合しかないけど、7試合もあるとも言える。先のことも考えてやった。探るよりも攻めていこう、と千賀とも話していました」と振り返った。

 短期決戦の“鉄則”とも言えるのが、相手打線でキーポイントとなる打者を、シリーズ序盤で崩すことにある。現役時代の工藤公康監督が、中日の関川浩一(現ソフトバンク打撃コーチ)を徹底的に封じたことは有名な話。昨季、ソフトバンクは日本シリーズで丸佳浩を封じ込め、先日のファイナルステージで甲斐は森友哉を自由にさせなかったことは記憶に新しい。

「まだ試合はあるんで、詳しくは言えないですけどね」。千賀も甲斐も詳細については口をつぐむ。ただ、その意図は十分に感じられた。まず初回。1死で迎えた坂本勇に対し、千賀と甲斐のバッテリーは立て続けにインコースを攻め続けた。158キロ、154キロ、158キロ、157キロ…。アウトコースに外れたフォーク1球を挟むと、二飛に打ち取った最後のボールもインコースへの156キロの真っ直ぐだった。

 続く丸に対しては2球連続で151キロのカットボールをインコースに投げ込んだ。丸に対しては3回の第2打席でも2球目から再びインコースへのカットボールを連続。3ボール1ストライクとなっても、徹底してインコースへのカットボールを投げ続けた。結果は四球となったが、甲斐も「意味ある四球だった」。丸の頭には、このインコースへのカットボールが染み付いたはずだ。

 巨人打線の鍵となるであろう、2番の坂本勇と3番の丸。インコースを攻めることが狙いではなく、インコースを意識させることで打撃に狂いを生じさせることが1つの狙いだろう。脳裏に「インコースが来るかも」と強く意識させることができれば、外角に来た時にしっかりしたスイングをすることは難しくなる。

 重要なのは打者を迷わすこと。そのための徹底したインコース攻めだったと見える。一流の打者でも、ちょっとしたことで狂いが生まれるのが打撃。最大で7試合しかない短期決戦では、そのちょっとした狂いを修正するのはなかなかに難しい。

 第1戦、ソフトバンクバッテリーは1番の亀井から坂本勇、丸、岡本の上位打線を16打席で、わずか1安打に封じた。まだ第1戦だが、相手打線を波に乗せなかった意味は大きく、甲斐は「次に繋げていかないといけないと思っていた。次のことも考えた。それが出来るのが千賀。投手が投げてくれた結果です」と手応えありげに振り返った。

「まだ1試合が終わっただけですからね。この後、何もしないで良いわけじゃないので」。第1戦を終えると、すぐさま第2戦以降に頭を切り替えていた甲斐。巨人打線とソフトバンクバッテリーのせめぎ合い。第2戦以降も、この戦いには注目だ。

(Full-Count編集部)

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