日本一へ王手をかけた鷹の強さ 4回代打で決勝犠飛“切り札”長谷川勇の存在

ソフトバンク・長谷川勇也【写真:荒川祐史】
ソフトバンク・長谷川勇也【写真:荒川祐史】

4回という早いタイミングでの代打でもきっちり役割遂行「準備していた」

■ソフトバンク 6-2 巨人(日本シリーズ・22日・東京ドーム)

 22日に東京ドームで行われた日本シリーズ第3戦。2連勝で敵地へと乗り込んできたソフトバンクがこの日も6-2で勝ち、3連勝で3年連続日本一に王手をかけた。先制を許すも、すぐに追いつくと、4回には一挙4得点でリードを広げた。勝負を決めたこの回、決勝点を叩き出したのは、34歳のベテラン、長谷川勇也だった。

 出番は早かった。同点で迎えた4回。1死から内川の左前安打、甲斐の四球で走者を貯め、バンデンハークの犠打を巨人3番手の戸郷が三塁へ悪送球。1死満塁という千載一遇のビッグチャンスを迎えた。打順は1番の川島に。「あそこがポイントになるかなというのがあった」。工藤公康監督はここが勝負所と見極め、まだ試合前半にもかかわらず、代打の切り札である長谷川勇也を起用した。

 あまりに早い代打起用。それでも、長谷川勇に焦りはなかった。「ゲーム展開によっては投手のところで代打があるかもと予想はしていて準備はしていた」。投手のあと、川島の所での代打は予想外だったが、体と心の準備はできていた。

 初対戦だった戸郷の初球、高めの真っ直ぐをキッチリと弾き返した。左翼ゲレーロへの飛球。犠牲フライには十分だった。内川が生還し、勝ち越しに成功。結果的にこれが決勝点になった。「ホームラン打ちにいったんですけどね」とニヤリと笑いながら「シンプルに強く打ちにいった」と、このいちだを振り返った。

 初見の相手、初めて見る初球をきっちりと外野まで運んだのは、2013年に首位打者と最多安打に輝いたバットマンにも輝いた男の経験が成せる業か。「初球からとも考えていなかった。結果的に初球を打ちましたということ。スイングする球を待って、それ以外は反応です。自信はあるので、あとはやるかやらないか。練習から一振りで仕留める準備はしている。あとはジタバタせず、しのごの言わずにやるだけ」。

 この長谷川勇や第1戦、第2戦で代走として勝負を分けた周東、そしてキッチリと反撃を防いでいくリリーフ陣…。こうした要所、要所で己の役割を、きっちりと遂行出来る“職人”がいることこそ、ソフトバンクの層の厚さ、強さの要因だ。

(Full-Count編集部)

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