MLB審判のクーパー氏が52歳で急死 野茂英雄の「ノーノー」達成試合で球審務める

10月20日、急死したエリック・クーパー氏(右)【写真:Getty Images】
10月20日、急死したエリック・クーパー氏(右)【写真:Getty Images】

二塁塁審を務めた10月7日のヤンキースとツインズの地区シリーズ第3戦が最後の試合になった

 今季までMLBの審判として活躍し、2001年に野茂英雄が2度目のノーヒットノーランを達成した試合で球審を務めたエリック・クーパー氏が10月20日、急死した。クーパー氏は前の週に膝の手術をしたが、血栓症により死去した。

 クーパー氏は1966年12月18日、アイオワ州生まれ。大学卒業後、ジョー・ブリンクマンアンパイアスクールを卒業、90年にマイナーリーグの審判に採用され、96年6月17日のカウンティ・スタジアムでのロイヤルズ対ブルワーズ戦で、三塁塁審としてメジャーデビューした。

 ポストシーズンでは地区シリーズ10回、(2003年、2005年、2006年、2008年、2009年、2011年、2012年、2013年、2014年、2019年)、リーグ優勝決定シリーズ4回(2004年、2015年、2016年、2017年)、ワイルドカードゲーム3回(2015年、2016年、2017年)審判を歴任。2014年のジャイアンツとロイヤルズとのワールドシリーズ、2005年のオールスターゲームでも審判を務めた。

 2009年、2013年のWBCでは、いずれもプエルトリコのサンファンでのラウンドで審判を務めた。

 クーパー氏はノーヒットノーランに縁が深い審判だった。2001年4月4日のカムデンヤーズでのオリオールズ対レッドソックス戦で、レッドソックスの野茂英雄はキャリア2度目のノーヒットノーランを記録したが、この試合の球審を務めたのがクーパー氏だった。

 また、2007年4月18日、USセルラーフィールドでのホワイトソックス対レンジャーズ戦で、ホワイトソックスのマーク・バーリーがノーヒットノーランを記録したときも球審を務めた。さらにバーリーが2009年7月23日、USセルラーフィールドでのレイズ戦で完全試合を達成したときも球審を務めた。現役審判で複数のノーヒットノーランを経験した審判は8人だけだ。

 また、2008年9月21日に行われた旧ヤンキースタジアムの最後の試合、ヤンキース対オリオールズでは三塁塁審を務めた。

 2018年4月24日のミニッツメイド・パークのアストロズ対エンゼルス戦では、球審として投手デビュー4試合目の大谷翔平の投球をジャッジした。

 今年10月7日、ターゲットフィールドでのツインズ対ヤンキースの地区シリーズ最終戦では二塁塁審を務めた。結果的にこれが最後の試合になった。

 今季は、ジョー・ウェスト(チーフ)、アンディ・フレッチャー、ウィル・リトルとクルーを組んで審判を行っていた。

 審判ナンバーは「56」。経験を積み、MLBを代表する審判として信頼を集めていただけに、52歳という早すぎる死に驚きと悲しみが広がっている。

(広尾晃 / Koh Hiroo)

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