ファンの新規開拓に尽力 プロ野球を究極のエンターテインメントに【パお仕事名鑑 Vol.8】

ヤフオクドームをエンターテインメントの“宝庫”に

「ヤフオクドームという空間をどこまでエンターテインメントを極めたものにできるか。屋外球場の良さはどう転んでも出せないと思うのですが、その反面、光や音、また、ビジョンも豊富に設置されているので映像コンテンツも活用できる。今年、コンコースなどヤフオクドームは大改修されてさまざまな演出ができるようになりました。これから、もっともっとクリエイティブの質をあげて、ホークスにそれほど興味のない人たちや、初めて球場観戦した方にも『すごいな』って思ってもらいたい」

 屋根の開閉、花火、光や音による派手な演出に、球場の新しいメディアを使ったきめ細かい演出をからめてファンに喜んでもらう。イベントも演出も新しいものを取り入れていくことは大変だが、若山さんは「だから楽しい」とも感じている。

「グループ全体の考え方だと思うのですが、変わることやチャレンジすること自体を大切にしていると思います。チケット収益は野球事業の根幹なので、そこがコケるわけにはいかない。それでも集客のためのイベントや演出等については、去年とあまり変わらない提案をすると、社内からは 『新しくないからつまらない』という反応が返ってきます。全部をゼロにしてやり直せということではないのですが、去年も来たお客様が、今年もこんなすごいことやるんだって思ってくれるような変化をつけなければ、と。大変ですが、でも本当にありがたい話。“去年と同じことやってればいい”と言われたらつまんないだろうなって最近すごく思うようになってきました。恵まれた環境だなって思います」

 「恵まれた環境」と若山さんは言うが、せっかく成果を上げて継続していきたくても、日々「何か新しいもの」を求められるのは辛さもあるのではないだろうか。

「そのために、自分も含めて、イベントや演出を担当するメンバーには『インプットする時間をたくさん取ってほしい』『色々なエンターテインメントを自分で体験してほしい』と言っています。やはりインプットがないと、アウトプットするのはしい。インプットさえしっかりしていれば、自分なりの方法論を持っていれば、なにかしらアウトプットしていけると思っています」

 自分なりの方法論。若山さんのバックグラウンドはどうだろうか? 大学、大学院での専攻は環境設計。都市計画やランドスケープなどから建物のデザインに落とし込み、周辺環境や歴史、文化などのコンテクスト(文脈)を反映するというものだ。卒業後はメーカーに就職したが、コンテクストを反映するという点は業務に生かせていた。

「商材ごとで事業部に分かれているものを、ユニバーサルデザインとかエコ、防犯といったテーマの横軸で貫き、提案していくという業務をやっていました。社内ではこの視点で各事業部とテーマを軸にした連携をとりながら、社外に対しての業務は展示会ブースづくりや演出、エンドユーザー向けのカタログの作成などがありました」

 その後、別の部署に異動し、業務分析・改善の仕事を担当。部門経営、会社経営の視点や考え方に触れ、また視野が広がった。そして球団への転職の機会が訪れたのは2007年末のことだった。

すさまじいスピード感「怖いといえば怖い、楽しいといえば楽しい」

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